「ここのひな飾りは、実は毎日飾りつけをしているんです。朝8時くらいに商店街や地元のボランティアスタッフ20人ほどが集まって、1時間ほどで並べます。そして1日の展示が終わると、その都度片づけるんです。片づけは15分くらいで終わりますね」

 屋外というロケーションのため、開催期間中出しっぱなしにしておくわけにはいかず、毎日、並べては片づけるという作業を行っているという。そして屋外というと、天候が気になるところだが……

「雨が降ると、事務局からスタッフのみんなにメールが行くんです。それを見てスタッフが急いで集まって、みんなで撤収作業をします。過去にはが石段に入ってきて、ひな人形を倒してしまうなんてこともあったんですが、そういったときもその都度、石段の脇から上って、手を伸ばして直しています」

 2001年に始まったこのイベント、榊田さんは毎年関わっており、回を重ねるにつれて、スタッフの間でさまざまな工夫を凝らすようにもなったという。

「最初は上から下まで、1枚の緋毛氈(ひもうせん・ひな飾りの下に敷く赤いじゅうたん)を使っていたんですが、それだと敷くのや、片づけが大変だったんですね。なので今は、1段ずつ短い緋毛氈を敷いています。人形を並べるバランスも、女性スタッフが加わったことで、より見栄えのいいバランスを考えられるようになりました」

 圧巻のひな飾りは、こうした工夫や日々の作業によって支えられていた。

 このほかにも、勝浦市芸術文化交流センター「キュステ」には、遠見岬神社をはるかに上回る8千体のひな人形が飾られており、こちらも思わず声を漏らしてしまうほどの迫力だ。

 こちらは50人ほどのスタッフで並べたとのこと。実行委員会会長の屋代充子さんは「明治・大正時代の古いおひなさまが多いので、扱いはかなり気を使いました。皆さんに楽しんでいただきたいという思いで準備しましたので、たくさんの方に来ていただければと思います」と話す。

 期間中は街中のいたるところにおひなさまの姿を見ることができ、夜にはライトアップもされるとのこと。家のひな飾りとは一味も二味も違ったひな人形の魅力を感じられそうだ。イベントは3月6日まで開催される。

(ライター・横田 泉)