そこで、彼にサイコーの評価法を練習してもらった。毎日、必ずメールで私に送ってもらうようにしたのだ。最初は「よかったこと」を挙げられない日もあったのだが、「くだらないことでもいいですよ」とアドバイスし練習するうち、「昼食の肉じゃががうまかった」「帰りのバスがすぐに来てくれた」「昨日は睡眠薬をのまずに眠れた」などと、良いことを挙げられるようになってきた。

 そして次第に「今日は◯◯をやり遂げた。以前よりストレスも感じなかった」とか「◯◯君に頼まれたことを、何とか無事に提出できた」などと仕事について客観的に評価するように変わってきた。

 さらに、(悪いこと)「◯◯さんの話を無視した形になった」、(今後の対処)「明日は、自分から声をかけてみよう」と、悪いところも、すぐに対処のほうに頭が向くようになってきた。次第に彼は、職場で浮く存在ではなくなりつつあった。

 そしてある時、こんなメールが届いた。

「先生、すごいです。鳥にふんを落とされたのですが、<鳥はすごい能力だ、あんな高いところから、俺の頭にピンポイントでふんを落とせるなんて、自然は素晴らしい>と感じることができたんです。うれしくって、メールしました」

 良いことを見つけられ、それを感じているうちに、世の中が「それほど悪いものではない」と感じてくる。すると警戒のエネルギーも低下し、穏やかな日々を過ごせるようになるのだ。

 このサイコーの評価法は、日ごろから練習しておくと、何かを見るとき、つまり評価するときの一つの癖になる。

 ただ癖になるには、ある程度の練習が必要。少なくとも2カ月は、例えば携帯のメモに入力したり、日記に書いたりして続けてほしい。書くのが面倒くさい人は、毎日の電車の中、トイレの中などの隙間時間に、手早く思い出すだけでいい。

 自分の評価が変われば、世界が変わる。ぜひ試してもらいたい。