また、昨年流行語大賞にも輝いた「爆買い」。海外から日本にやってくる人々を「インバウンド」と表することもあった。その言葉を引用した恵方巻きが、その名もずばり「インバウンド巻」(天領庵/2160円、税込み)だ。こちらは見た目が鮮やかで、まぐろやサーモン、カニ、アボカドが、カリフォルニア巻きのように表面に見える形で巻かれている。でも、これがなぜインバウンドなのか。東武百貨店によると「訪日外国人にも恵方巻を楽しんでもらえるよう、外国人に親しみのあるカリフォルニアロールをイメージして開発した」とのこと。五郎巻は2月3日限定、インバウンド巻は2月1日~3日に販売される。

 恵方巻き商戦に熱心なのは百貨店ばかりではない。コンビニで注目したいのは、関東を中心に展開しているスリーエフだ。

 スリーエフといえば、昨年は「飲む恵方巻き」として、恵方巻きの海苔をイメージした黒いラベルの「恵方サイダー」を発売したことでも話題になった。この奇をてらった商品が昨年はかなり好評だった。さて、今年はどんな恵方巻きで勝負してくるのか……と思っていたら、出てきたのは長くて黒くてゴツゴツした、その名も「鬼のこん棒シュー」(450円、税込み)。長さ30センチにも及ぶロングなシュークリームだ。

 節分といえば鬼。鬼と言えばこん棒。というわけで、あの黒くてゴツゴツした鬼のこん棒をイメージして作られた商品だという。実はこちら、昨年も販売して好評だった商品をリニューアルさせたもの。皮に炭パウダーを練り込んであるため、見た目の「こん棒感」が昨年よりもかなりアップしている。

 しかし、恵方サイダーにしてもこん棒シューにしても、スリーエフはなぜこうも奇をてらってくるのか。

「近年、恵方巻き自体は各社が販売していますので、差をつけるためにも新しいものを出していかなければと思っています。ファミリーで楽しむ行事でもあるので、お子さんに喜ばれるような商品を出していきたいという思いもありますね。それと、商品開発者にかなり遊び心がある、というところもあるかもしれません」(スリーエフ広報)

 商品開発の遊び心で生まれた「鬼のこん棒シュー」は予約販売となっており、1月29日で締め切っている。しかし、恵方サイダーは店頭での購入が可能だ。だがこちらも、昨年は店舗によってはあっという間に売り切れてしまった。早めにチェックした方がいいかもしれない。

 バラエティー豊富な商品が揃う、恵方巻き商戦。百貨店やコンビニで、各社が知恵を絞った商品を見ているだけでも楽しむことができそうだ。

(ライター・横田 泉)