実際にイベントを取材してみると、そこには積み上げられたスイーツマラソンのノウハウがあった。まず、この黒山の人だかりを分散させる方法がある。そのひとつが、テーブルによってスイーツの種類を変えること。そうすると、いろんな種類を食べるために人々は絶えず移動するのだという。さらに人の流れを促すように、運営スタッフがこんなアナウンスも行う。

「今、こちらにスイートポテトが入りました!」

 新しいスイーツを入れる度に、声をかけるのだ。この声に応えて、バラバラと移動を始める人々の姿が。これによりに自然に人が流れるようになったそうだ。

 また、人を渋滞させないための大きいなポイントのひとつが「給水所」の位置だ。スイーツマラソンでは「給水所」を「給スイーツ所」とは別に設けている。これでスイーツを食べてのどが渇いた参加者は「給スイーツ所」を離れることになる。この日も、ひとしきりスイーツを食べたランナーが「お茶はないの?」と言って「給水所」へ向かう姿がみられた。こうした小さなノウハウの積み重ねが、スムーズな大会運営に一役買っているようだ。

 給スイーツ所では、運営スタッフが次々補充するも、人気のスイーツはみるみるうちになくなっていく。スタッフにたずねたところ、1番人気は洋菓子メーカー「カラベル」のチーズケーキとのこと。全般的にパサパサした食感のものより、しっとりしたものが人気というのはうなずける。

 スイーツマラソンには見どころがもうひとつある。それがランナーたちの仮装だ。レースとともに仮装コンテストが行われており、出場者のなかから仮装大賞が選ばれることになっているため、男女問わず、着ぐるみからコスプレまでさまざまな仮装姿のランナーたちイベントをさらに華やかなものにしている。

 スイーツ目的のイベントなので参加者は女性が圧倒的に多いかと思いきや、さにあらず。男性陣も大学生から40代まで、実に幅広い年齢層が参加しており、比率的にも決して少なくはなかった。会社の仲間と参加したという男性3人組グループは「甘いもの目当てで参加しました」ときっぱり。ずらりと並ぶスイーツを前に「大満足ですね!」と笑顔をみせた。

 試合巧者の参加者もいる。20代の女性コンビは、友達とコスプレ姿で参加。実はこのふたり、全5周のレースの4周目に差し掛かっているにもかかわらず、「まだ全然食べていない」という。その理由はというと……

「最初の4周は急いで走って、ラスト1週でゆっくり食べようと思って。なのでこれからいっぱい食べます!」

 レース序盤の混雑を避けて、終盤にスパートをかけるという作戦なのだ。この策が奏功し、女性たちはこの後、ゆっくりとスイーツを楽しむことができたようだ。

 性別、年齢を問わず多くの人の楽しむ姿が見られたスイーツマラソン。2月には大阪(エントリー締め切りは2/13まで)、3月には福岡(同 2/20まで)で開催が予定されている。恐らくこれらの場所でも「ファンラン」の名の通り、スイーツや仮装など、思い思いのマラソンを楽しむ人の姿が見られそうだ。

(ライター・横田 泉)