「わかりやすい文章」を書くためにも、読点の使い方はマスターしたい(写真はイメージ)
「わかりやすい文章」を書くためにも、読点の使い方はマスターしたい(写真はイメージ)

 まずは次の一文を読んでみて欲しい。

「渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた」

 これだと血まみれになったのが渡辺刑事なのか賊なのかわからない。では、賊が血まみれだったのにもかかわらず、次のように読点をうつとどうなるだろうか。

「渡辺刑事は血まみれになって、逃げ出した賊を追いかけた」

 これではまるで、渡辺刑事が血まみれになっているかのように読める。このように、読点(、)のような符号は、わかりやすい文章を書く上でたいへん重要な役割を占めている。

 1982年に発売された文庫『日本語の作文技術』(朝日新聞出版)は、30年以上売れ続けているロングセラーだ。昨年12月には『<新版>日本語の作文技術』が発売され、いまだ「文章の教科書」的役割を担っている。著者である本多勝一氏は同書の中で、文章を書く上で最も重要で、かつ用法が難しいとされる読点を使いこなせていない人が多いと指摘。その上で、読点のうち方には二つの大原則があることを述べている。

 例えば先の文書を少しアレンジした「拳銃を携帯した渡辺刑事は、血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた」の場合、「追いかけた」という述語に対して「拳銃を携帯した渡辺刑事は」と「血まみれになって逃げ出した賊を」という二つの修飾語がついていることになる。この場合、二つの修飾語の間に読点をうつことで論理がハッキリしてわかりやすくなる。このことから「長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ」という第一の原則が導き出される。

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