今井正人(c)朝日新聞社
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今井正人(c)朝日新聞社

 第60回全日本実業団駅伝(通称・ニューイヤー駅伝)が1月1日、群馬県で開催され、トヨタ自動車が2年連続3度目の優勝を飾った。5区では、今井正人(トヨタ自動車九州、順天堂大OB)と柏原竜二(富士通、東洋大OB)による箱根駅伝の新旧「山の神対決」が実現。その結果は今井が区間2位、柏原が9位となり、今井に“軍配”が上がった。

 今井は、3年連続5区区間賞を獲得して、「初代・山の神」と呼ばれた。一方、柏原は4年連続で5区区間賞、「新・山の神」として箱根のスターに上り詰めた。ただ、彼らは年齢が離れているため、箱根駅伝で対決する機会はなかった。

 このため、この日の“直接対決”ではふたりが競い合う光景が見られるのではないか、とファンの期待は高まった。だが、5区の太田市役所中継所で、今井が7位、柏原が20位で襷を受け取る展開となり、残念ながら、「山の神」同士がつばぜり合いを演じるシーンは見られなかった。

 襷を受け取った今井は、すぐさま6位に順位を上げると、5区の終盤では一気に4位に浮上した。今井は2015年夏、髄膜炎と診断され入院。世界陸上の男子マラソン代表に内定していたが、やむなく欠場するという苦汁をなめた。この快走は、そんな悔しい思いを晴らすかのような力強さに満ちていた。柏原は20位で受け取った襷を17位で渡して、順位を3つ上げる走りをみせた。

(ライター・横田 泉)