美輪明宏さん(撮影/御堂義乘)
美輪明宏さん(撮影/御堂義乘)

 12月16日、夫婦別姓を認めるか否かを巡り、最高裁での判決が下された。今回の判決では夫婦別姓は認めない形となったものの、同性婚や事実婚など、多種多様化する個人の生き方に対応した制度の改定を求める声は、今後ますます高まってくることだろう。

 男と女、夫と妻、さまざまな家族の形。当然、多くの悩みも生じてくる。そんなとき、思わず頼りたくなるのは“人生相談”。人生経験が豊富であり、ときに厳しく指摘してくれる相手に自らの悩みを打ち明けてみたくなるものだ。

 朝日新聞土曜別刷「be」での人気連載「悩みのるつぼ」では、読者から寄せられた悩みの数々に、美輪明宏氏が答えていく。

 家族関係、金銭、職場での人間関係、老い……幅広い年代の読者から寄せられる悩みは尽きるところを知らないが、やはり“結婚”にまつわる相談は多い。

「悩みのるつぼ」42回分を再構成し書籍化した『楽に生きるための人生相談』(朝日新聞出版)のなかで、美輪氏は結婚について、「よく結婚式で『おめでとう』と言いますが、まったくおめでたくないと思います。『えらいことしましたね。大丈夫ですか』というのが私の思いです」と述べる。

 良いこともある一方、一つ屋根の下に暮らしていれば相手の欠点もまた否が応でも目に入ってくるものだ。実際、複数の人間が同じ空間に集まるということは、“努力”“忍耐”“あきらめ”の連続だと美輪氏は言う。

「結婚式というのは『決別式』。夢と自由に別れを告げ、今日から夫や子供のため、現実に取り組むという覚悟の儀式です。だからウエディングドレスの白は『死に装束』だと、私は常々言ってきました」(本書より)

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