全部並べて、「好きなものを持っていっていいよ」と長男の嫁に言うと、高価なものやめずらしてものだけ選んだそう。

「お茶もいっぱいあるよ」と言うと、「お茶は、いいです」との返事。

 それを聞いたわたしは、思わず言った。

「はっきりしてていいやん。いらんもの押し付けられても困るやん」

「そのとおりやね」

 と母も笑っていた。

 そんな長男の嫁も次男の嫁も、わたしの父の介護は、実の娘のわたしよりもはるかによくしてくれた。

 わたしは、感謝しかない。

 年月が人を変えることもある。

 結婚当初からお正月になると、長男も次男も嫁の実家に帰っていた。

 最初は、母も少し寂しかったかもしれない。

 でも、「そんなことを気にしていると思われたくない」と、母は大晦日からホテルをとって、正月はホテルで友人たちと過ごす。

 大晦日からお正月のホテルは、いろんなイベントも企画されていて、けっこう楽しいらしい。

 しかも、おせちなども出てくる。

 そんな話をいつも楽しそうにしていた。

 近頃は「そんなにええねんやったら、一緒にお正月を過ごしたい」と言う友人もいるらしい。

 すると、あるとき次男の嫁が言った。

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