気がつくと、文章力と企画力を認められ、広島市立図書館初の有料事業を任せられるようになっていた。
ところが、一人娘は、出産時の陣痛促進剤の副作用で最重度の障害が残った。
夫も障害をもっている。
けれど、彼女は、定年まで勤めた後、
「最も弱者といえる娘のような人たちが、親亡き後も地域で普通に生きていくことのできる社会にすることが、自分の天命」
だとNPOを起ち上げた。
そんな彼女は、
「いっぱいメッセージしたいことがある」
と、わたしの決して安くないセミナーに広島から東京まで毎月通ってきた。
しかも、明るい。
言語障害をパソコンで文字を打つことでカバーして、コミュニケーション。
「大谷さんの講演会を広島で開催して、たくさんの人に聴いてほしい」
と、地域や仲間を巻き込んで、講演会を開催してくれた。
彼女の周囲のメンバーも明るい。
そのうちの一つに、車イスのダンスパフォーマンスチームがある。
彼らは、世界で活動している。
それだけじゃなく、家族も、
「この子たちが、海外公演できて、わたしたちが付いていかせてもらえて嬉しい」
と、笑っている。
でも、彼女たちの人生がそんなに楽じゃなかったことは誰だって想像がつく。
悲しかったこと、悔しかったこと、過去にもあったし、今でもあるはず。
なのに、元気で明るい。