同点ゴールを決めた広島・浅野(c)朝日新聞社
同点ゴールを決めた広島・浅野(c)朝日新聞社

 Jリーグ年間王者の栄冠は広島に輝いた――チャンピオンシップ(CS)決勝第2戦は12月5日、広島(第2ステージ覇者、年間総合勝ち点1位)が1-1でG大阪(同3位)と引き分けたが、2試合合計で1勝1分けとなり、2年ぶり3回目の優勝を果たした。広島は、今月10日から始まるクラブW杯に開催国枠で出場する。

 広島は第1戦、追加タイムで2ゴールを決め、3-2で逆転勝利を飾った。この試合、かりに引き分けか1点差で敗れても、優勝できる有利な状況だった。

 そして第2戦。“下克上”を狙うG大阪は積極的な攻撃を展開する。27分、CS3試合連続となる今野のゴールで先制すると、さらに攻勢を強めた。これをはね返したのが、広島のサイドアタッカー・柏と快足FWの浅野だった。

 76分にキャプテン青山の好判断からドウグラスがドリブルで突進し、右サイドの柏に展開した。すると、柏はマーカーに勝負を仕掛けず早めのクロス。これをゴール中央で浅野がピンポイントのヘディングシュートを決め試合を振り出しに戻した。その後も、G大阪の攻撃をことごとく、はね返して逃げ切りに成功した。

 優勝した広島に失礼を承知で言わせてもらうと、バルセロナ(スペイン)やリーベルプレート(アルゼンチン)など世界の強豪が出場するクラブW杯に広島が出場することは、やや地味な印象が拭えない。しかしながら、年間総合勝ち点で1位となったチームが優勝できない可能性があるCSのシステムのなかで、広島が堂々と優勝を果たしたことには正直ホッとしている。

 年間総合勝ち点3位のG大阪が年間王者になったならば、長丁場のリーグ戦の意味が薄れてしまう。広島はカウンターが得意なチームだ。G大阪に比べて、クラブW杯で強豪クラブを脅かす可能性は高いだろう。

サッカージャーナリスト・六川亨)