部屋探しと婚活に必要なのは忍耐だ。そう言い聞かせながら、諦めずネットサーフィンを繰り返す。そしてついに、これは運命ではと思う物件を発見!紹介可能だったので店舗までいそいそと足を運んだが、まだ退去予定の人が入居中のため、内見はできないとのこと。担当者いわく、「本当にいい物件は、内見前の仮契約で押さえられてしまうことが多いんです。逆に、都内で2週間以上空室状態が続くのは、物件としての魅力が低いという認識」なのだとか。

 これはいわば、彼女との別れは決めたものの、まだズルズルしている状態。でもきっとフリーになった途端に、恋人候補に名乗りを上げる人が大挙として押し寄せるに違いないと、仮契約の申し込みを決めた。内見して気に入れば本契約となる。1週間後、入居審査に通ったと連絡が来たが、彼を狙うライバルが他に5人もいることを告げられる。そして私は彼にとって1番手ではなく、2番手であるらしい。「同日に5件の申し込みがあったそうです。1番手の方が内見をして本契約をしなければ、順番が回ってきます」と説明された。別にいいの、他に相手がいても。最後に私を選んでくれたら……と待っていたが、残念ながら私に順番は回って来ることはなかった。

 私のスペックでは競争率の高い物件をゲットするのは難しいことを学んだので、次は別の不動産業者で内見できる物件に挑戦してみた。でもやっぱりお得な買い物をしたい。最近、関西から引っ越してきた同僚女性が「家賃3千円負けてもらったで~」と話していたのを思い出す。担当者の前で「ここに住みたいけど高い……住みたいのに……」としおれていると、なんと、「家賃交渉が可能かもしれませんので、管理会社にかけあってみます」と切り出してくれた。すかさず「4千円負けてください!」とお願いする。

「私は家賃4千円も負けてもらうんだよ~」と同僚に自慢していたものの、待てど暮らせど連絡が来ない。3週間後、「定額で入居される方がいらっしゃったので、残念ながら……」という電話がかかってきた。またもや失恋!

「申し込みをしても家賃交渉をした場合は、物件を確保することはできないんですよ」と、慰めながら担当者が教えてくれた。「だったら先にそういってくれれば」とも思ったが、本当に定額を支払うのは厳しかったから仕方がない。定額で申し込む人が現れればそちらに行ってしまうのは当然で、「家賃交渉」はもろ刃の剣ということなのだ。運命の相手を選ぶというのに、値切ってしまった時点で恋は終わっていたのかもしれない。

 失恋続きだけど、部屋探しについて少し詳しくなれた気がする。次はきっといい出会いがあると信じて、物件探しは続く。