格式高い祇園の街にもセクハラが?(写真はイメージ)
格式高い祇園の街にもセクハラが?(写真はイメージ)

 歓送迎会や取引先への接待など、会社員なら避けてとおれない“宴席”。女性の場合、お酒の席でセクハラ発言を受けたことがある、という人も少なくないだろう。

 京都・祇園でナンバーワン舞妓(まいこ)として活躍した経歴をもつ岩瀬奈津代さんが、著書『京都・祇園 最上のおもてなしに学ぶ「心づかい」の基本』(朝日新聞出版)のなかで、こんなセクハラ対処法を披露している。

 華やかで格式高いイメージの祇園だが、中には残念なお客もいるという。岩瀬さんも芸妓(げいこ)・舞妓時代に、「今晩付き合ってくれる?」などと聞かれた経験があるそうだ。楽しい宴席が一転するセクハラ発言を上手にかわすには、どうしたらいいのだろうか。

「『嫌です!』とストレートに返すよりも、あえて場をしらけさせ、『ノーと言わずして断る』ほうが賢いこともあります」(本書より)

 岩瀬さんがお客さんから誘われた時に使っていたのが「お姉さん、どうどっしゃろなぁ」の一言。

 お座敷に同席しているお姉さん芸妓にわざと話をふり、お姉さんから、「翌朝の稽古も早いので、日付が変わる前に帰してくれるのなら」と返してもらうのだ。しかも時間は夜の11時過ぎ――これにはさすがのお相手も泣く泣く退散となる。

「嫌です」「困ります」といった否定の言葉を使わない、ちょっと“いけず”な京女らしい、ユーモアをまじえた“お断り”の技といえる。ただしこの方法は、日々の鍛錬と先輩芸妓との信頼関係がなせる技であるため、誰もができることではない。

 たとえば会社で働くあなたが、接待の席で取引先の方にセクハラまがいの発言を受けたとしよう。仕事で付き合いがある相手と、セクハラがきっかけで険悪になってしまっては、その後のビジネスに支障をきたしかねない。こういった場合、どのように切り返すのがいいのだろう。

「同席している上司にわざと話をふって、『今晩付き合ってくれとおっしゃっているのですが、社則ではOKなんでしょうか?』などとわざとらしく聞いてみてはどうでしょう」(本書より)

 あえて“わざとらしく”聞くのがポイントだ。きっとしらけた空気が流れるはず。しらけた雰囲気をどうにかしたいなら、「さて、飲みましょうか」と話題を転換すれば大丈夫と、岩瀬さんは丁寧にアドバイスしてくれる。

 12月の忘年会シーズンに向けて、今から上司や先輩を味方につけておくことから初めてみてはいかがだろうか。