内村航平(c)朝日新聞社
内村航平(c)朝日新聞社

 体操世界選手権(イギリス・グラスゴー)は10月31日早朝(日本時間)、男子個人総合が行われ、内村航平が優勝し、大会6連覇という前人未到の快挙を達成した。

 29日にはキャプテンとしてチームを率い、悲願であった男子団体優勝を果たした内村。団体では6種目すべてに出場していたため疲労も懸念されていたが、心配は無用だった。

「今日は気持ちを強く持っていないとすぐ集中力が切れそうな戦いになりそうだなと思った。アップが終わってから(気持ちの)スイッチをオンにして、鉄棒が終わるまでスイッチオンにしっぱなしだった」(内村)

 その言葉通り、内村は最初の種目である「ゆか」で15.733の高得点をマークすると、その後も安定した演技を披露。得意種目のひとつである「平行棒」では、精度の高い技と完璧に近い着地で15.833の高得点も叩き出した。2位以下が順位変動を繰り返すなか、内村はトップを保ったまま最終種目の鉄棒へ向かう。

 団体ではミスのあった「鉄棒」。内村は演技構成を変え、確実にミスなくまとめることを選んだ。団体で落下したG難度の技・カッシーナを封印、「価値点を落として着地を止めにいく作戦」(内村)をとり、その通りに演技をまとめる。ラストはほぼ完璧な着地をみせて歓声に包まれると、観客を煽る珍しい姿もみせた。「最後の最後まで着地を止められたし、6連覇を達成できたということでちょっと調子にのってみました」と笑顔を浮かべて話す。

 6連覇については「正直自分でも信じられないですね」と喜びの表情で語り、「最後の鉄棒はカッシーナを入れてやりたかったけど、コーチと話して、しっかり勝ちにこだわっていいんじゃないかと決めたので。着地を止められたのはよかったです」とも話した。

 また、前日に女子個人総合で優勝したシモーネ・バイルズ(米国)を引き合いに出し、「前日にバイルズ選手の演技を見ていたんですけど、これくらい圧倒的に勝ちたいなと思っていたので、自分の中で演技に満足できていない。これからは同じ世界王者として体操界を引っ張っていけたらいいなと思います」とさらに上を目指す姿勢もみせた。

(ライター・横田 泉)