ナプキンが持つ消臭効果の転用には、「靴の中敷」としての利用が挙げられる。ナプキンを靴の中に入れると消臭のみならず汗取りの役割も果たす。なかでも“羽つき”と呼ばれる着用時のズレを防ぐテープつきのナプキンは靴のなかでもズレない優れものだ。

「水虫を患っているため、ずっと同じ中敷を使うと不衛生です。それで何かないかと尋ねると、大学時代、アメリカンフットボール部だった同僚がこのナプキンを勧めてきました。最初はからかっているのかと思いましたが、つけてみてその意外な効果に驚いています」(東京都内・メーカー勤務30代男性)

 さて、ナプキンとは何の縁もなさそうなアメフトという言葉が出てきたが、意外にもこの両者は相性がいい。その理由をアメフト経験者は次のように語った。

「汗止めとしてヘルメットに貼り付けます。試合時、汗が目に入ると動きが鈍くなる。ナプキンの装着で、試合中も快適です」

 汗取りとしての使用もまた意外な場面で転用されている。ホストやファッションモデルなど身だしなみに気を遣う職業に就く男性の間で、夏場を中心にこのナプキンを用いるケースだ。40代の元ファッションモデル男性はその使用理由と方法をこう話す。

「排尿後に残尿が出ると、インナー(下着)からパンツ(ズボン)まで染みることがある。とくに生地の薄い夏場がひどい。トイレから戻った男性をみているとたまにいるでしょう? これを防ぐために男性器に接する部分にナプキンを着けるのです」

 元モデル男性によると、今では尿漏れパッドも売っているものの、これはドラッグストアなど専門店でなければ手に入らない。だが、女性の生理用ナプキンならコンビニに駆け込めばまず手に入る。その手軽さからナプキンを用いることが多いという。

 これら男性によるナプキンの転用について、製造元企業はどう捉えているのか。ナプキンを製造・販売する主な企業に聞くと、その回答はおおむね次のような内容に集約された。

「そもそもナプキンとは女性をターゲットとして製造、販売している商品で、その技術開発も女性のためにやっている。メーカーとして本来目的以外の使用についてどうこういう立場にはない」

 とはいえ、女性に快適さをもたらすナプキンは、男性にもまた快適さをもたらすことは紛れない事実。案外、男性用ナプキンが登場する日も近いかもしれない。

(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)