岡本さんが30年以上かけて集めたグッズを展示。やっぱりライトセーバーは人気だとか
岡本さんが30年以上かけて集めたグッズを展示。やっぱりライトセーバーは人気だとか
マイシャガール美術館。入り口の「スター・ウォーズ展」は無料で開放されている
マイシャガール美術館。入り口の「スター・ウォーズ展」は無料で開放されている
等身大の「ヨーダ」の人形と「R2-D2」のクーラーボックス。ふた部分は岡本さんが作った
等身大の「ヨーダ」の人形と「R2-D2」のクーラーボックス。ふた部分は岡本さんが作った
美術館内には、シャガールの作品がずらりと並ぶ。約25年かけて制作したという銅版画シリーズ「聖書(バイブル)」は貴重
美術館内には、シャガールの作品がずらりと並ぶ。約25年かけて制作したという銅版画シリーズ「聖書(バイブル)」は貴重

 2015年12月に最新作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が公開予定のスター・ウォーズシリーズ。1977年公開の第1作から楽しみに見ている人も多いだろうか。そんなスター・ウォーズを愛してやまない男性が、兵庫県芦屋市の私設美術館で開いているグッズの企画展が話題となっている。

 企画展「スター・ウォーズ展」は、私設美術館「マイシャガール美術館」入り口の無料開放スペースで開かれている。この美術館は、もともと自宅でシャガールのギャラリーを運営していた館長でグラフィックデザイナーの岡本亘由さん(68)が、95年の阪神大震災後、全壊した自宅を再建する際に開設した。岡本さんが20代からこつこつと収集した、フランスで活躍したロシア出身の画家、マルク・シャガールの作品約350点を展示している。

 シャガールに情熱を注いできた岡本さんだが、スター・ウォーズ第1作を見て、「ストーリーの面白さや交響曲にこだわった音楽、刺激的な映像技術に魅せられた」。12月の最新作の公開に合わせて始めた企画展のスペースは、30年以上かけて集めた登場人物の歴代フィギュアやポスター、キーホルダー、おもちゃなどのグッズ約300点で埋め尽くされている。

 展示品の中には、悪役「ダース・ベイダー」のマスクやフォースの師匠「ヨーダ」の等身大人形、海の家などで使われていた「R2-D2」のクーラーボックスに岡本さんが製作した頭部分をくっつけたものなど、レアなアイテムもある。よくもまあこれだけ集めたものだと眺めているだけでわくわくする。

 しかし、両方好きとはいえ、スター・ウォーズとシャガールに共通点はあるのだろうか。岡本さんによると、両者は「造形の素晴らしさ」で結びついているという。20代初めにヨーロッパでシャガールの絵を見て衝撃を受けた。「自由奔放に描かれていて、描けない自分がつらくなった」と話す。

 スター・ウォーズを見た時も、同じように驚かされた。戦闘の際に、飛行体が溝の中を飛んでいくシーンなどを見て、「なんでこんなことが表現できるのか。どうやって撮影したのか」と映画館の画面にくぎ付けになった。「ものづくりの面白さと映像の面白さには共通点がある」と力説する。

 美術館は有料だが、企画展を無料スペースで開催しているのには理由がある。「子どもたちに芸術や創造への感性を磨いてもらいたい」という思いからだ。芦屋は作家の村上春樹さんが少年時代を過ごした街でもある。「ものづくりへの関心を高めてもらいたいし、親子の会話のスイッチになればもっといい」。紙で作ったヘルメットをかぶって来た子どもには、映画を見に行くよう勧めた。

「スター・ウォーズ展」は10月22日まで。こちらを見に行って映画の公開に備えるのも良いが、興味がある人は、シャガールの常設展もお薦めだ。所狭しと並べられた作品数は国内有数ともいわれ、特に、約25年かけて制作したといわれる銅版画シリーズ「聖書(バイブル)」105点は必見。両方の展示を見比べながら、岡本さんの考察を聴くのも面白いと思うが、どうだろうか。

(ライター・南文枝)

■マイシャガール美術館
住所:兵庫県芦屋市南宮町1-14
休館日:火~木曜