レスリングの世界選手権で3連覇を果たした登坂絵莉選手
レスリングの世界選手権で3連覇を果たした登坂絵莉選手
高岡ジュニアレスリングクラブで指導に当たる角地山豊監督
高岡ジュニアレスリングクラブで指導に当たる角地山豊監督
登坂選手が育った高岡ジュニアレスリングクラブ
登坂選手が育った高岡ジュニアレスリングクラブ

 女子レスリング48キロ級の登坂絵莉(至学館大)が9月9日、米国ラスベガスで開かれた世界選手権で3連覇を果たした。決勝では、ロンドン五輪銀メダリストのマリヤ・スタドニク(アゼルバイジャン)に苦戦を強いられたが、終了間際に粘って片足タックルを決めて逆転勝ちを収めた。ヒヤヒヤの試合展開ながらも、執念でもぎ取った3連覇。精神力の強さは幼いころから際立っていた。

 登坂が小学時代に所属していたのは、富山県にある高岡ジュニアレスリングクラブだ。中学時代は練習相手を求めてほかのジムや男子選手がいる高校の部活動に参加。中学卒業後は親元を離れ、至学館高(愛知)に進学した。角地山豊監督に、教え子の強さについて聞いてみた。

「芯がしっかりしている子。ここぞという場面では必ず結果を出してきた。今回の世界選手権までの間も故障などがあって、調整は難しかったと思うが、試合にちゃんと合わせてくる。気持ちが強いんだね」

 今年は冬場から故障に悩まされ、今大会も動きは万全ではなかった。尊敬する吉田沙保里(ALSOK)からアドバイスや叱咤激励を受け、底力で3連覇を果たした格好である。同クラブの角地山監督は、登坂の意外な一面を明かしてくれた。

「小学生のころは、かなり不器用だった。一つの技を習得するのに、ほかの選手の何倍も時間がかかった」

 しかし、現在、指導に当たる栄和人至学館大監督は、登坂についてこう話す。

「センスがいい。相手をすかしたり、いなしたりするタイミングが絶妙で、状況に対処する能力は抜群だ。常に優位な立場で試合を進められる」

 世界女王となった今、むしろ「器用な選手」という印象だ。どうして、不器用だった登坂が、試合巧者と言われるまで成長できたのか。彼女が育った高岡ジュニアレスリングクラブの練習をのぞいてみた。

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