つまり、互いに好意を持たない、愚痴を“吐く役”と“聞く”役に徹した関係である。女性に恋心を抱きつつ“吐き出しパートナー”を続け、関係の発展を目指す男性には何とも辛い話だが、女性側にとってはその存在は得がたいもののようだ。

 恋愛、結婚事情に詳しいフリーライター、志村ひな子さんは女性側からみた“吐き出しパートナー”の関係をこう解説する。

「夫から感じる愛とはまた違った“癒やし”を与えてくれる存在です。肉体関係ではなく、まさに吐き出すだけの友達なのでプラトニックにつながっていられます。日々、生活する上である不満や不平、それを毎日、延々と聞かされる夫もたまったものではありません。これを“吐き出しパートナー”に聞いてもらうことで、日常で夫に愚痴を言うことも少なくなります。夫から愛を感じていない女性は、吐き出しパートナーから愛を与えてもらっている感覚です。そのメリットははかり知れません」

 そもそも恋愛とは、見返りを求めるものではない。ならば恋した、愛する女性から“吐き出しパートナー”と位置づけられたのなら、男性は黙ってその役割に徹するのも愛といったところか。もっとも“吐き出し”という冠こそついているが“パートナー”であることには違いない。それさえをわきまえれば、長く続く関係であることは間違いないようだ。

(フリーランス・ライター 秋山謙一郎)