関西の喫茶店で出てくる「ミックスジュース」(撮影・秋山謙一郎)
関西の喫茶店で出てくる「ミックスジュース」(撮影・秋山謙一郎)

 似て非なるものにはやはり理由がある――。大阪をはじめ関西地方の喫茶店では夏の定番メニューとして知られるのが「ミックスジュース」だ。バナナやみかん、黄桃、パイナップルなどの果実をぶつ切りにし、これをミキサーに入れ、牛乳と一緒に混ぜた飲み物である。関西ではこれを知らない者はまずいない。

 だが、このミックスジュース、関東では牛乳と混ぜたものをこのようにはいわないという声も多々耳にする。関東でミックスジュースといえば果汁100%、そこに牛乳を加えることがない。それが一般的だ。

 生まれも育ちも東京、30歳にして関西の地に初めて足を踏み入れたというIT企業勤務男性は、この夏、関西の喫茶店でミックスジュースを注文、ひと口飲んだ時の衝撃は今なお忘れられないという。

「何でフルーツジュースやミックスジュースに牛乳が入っているのですか? これだと“フルーツ牛乳”ではないですか?」

 フルーツ牛乳は、日本を代表する乳業メーカーでかつて商品化されていたものだ。だが、2000年に起きた大手乳業メーカーによる集団食中毒事件の発生を契機に、生乳100%ではないとの理由からこの名称は用いることは出来なくなった。そこで新たな名称として用いられたのが、「フルーツ・オーレ」「フルーツ・ミルク」といったそれだ。

 では、“ミックスジュース”と“フルーツ・オーレ”とは同じものなのか。専門家に意見を聞くと、こんな回答が返ってきた。

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