歴史的な経緯が通貨コードに反映している例では、南アフリカ共和国の通貨、南アフリカランドがあります。表記は「ZAR」。南アフリカ(South Africa)だからSARではないのか?と思ってしまいそうですが、南アフリカは以前、オランダの植民地でした。当時の通貨のオランダ表記が「Zuid-Afrikaansche Republiek」で、頭文字をとって「ZAR」になったとか。一部では、「SAR」とした場合、サウジアラビア・リヤル(Saudi Arabia Riyal)と重複するのでSをZに変えたという説もあります。(こちらの方が分かりやすいですが)


 
 また、スイスフランは欧州の両替商の店頭ではSFR、SWFなどさまざまな表記になっていますが、通貨コード(ISO4217)での表記は「「CHF」」になります。こちらは、ラテン語が元になっており、「Confoederatio Helvetica Franc(ヘルベチア連邦のフラン)」。

 では、日本の通貨である「円」はどうでしょう。こちらは歴史的な背景というよりは言語のなまりの結果というのでしょうか?ポイントはJPYの「Y」。幕末から明治期に欧米人が「YEN」とつづったことや、「エ」「ゑ」から始まる単語を「ye」でつづり、発音したものがそのまま使われたことが背景にあるようです。もうちょっと歴史的なものがあればいいのですが…。

 ちなみに、中国人民元のコードは「CNY」です。「元」は「YEN」なのでChiNa Yenで「CNY」になります。通貨コードを紐解くだけでも、ちょっとした地理、歴史探訪になるかもしれませんね。(FXストラテジスト 宗人)