一方、マイクロソフトリサーチが推進するのが、ドローンを利用しての「蚊の採集」。近年、エボラ出血熱やMERSなど、新たな感染症が国際的なリスクとして懸念されている。これらはジャングルなど人の踏み入れない地に生息し病原体を持つ動物が、何らかのきっかけでヒトと接触してしまうのが、流行の起点。そこで、未開の地へとドローンを飛ばし、動物の血を吸う蚊を調べることにより、新たな病原体を発見できるとの目論見だ。

 このように、さまざまな場面での活用が見込まれるドローン。ただ、冒頭でも述べたいくつかの「事件」が発生したことで、今後、種々の規制が行われる可能性が高い。そうした障害をクリアするものとして、小林氏は「ドローンサービスプロバイダー」の必要性を説く。

 ドローンサービスプロバイダーとは、産業技術総合研究所の岩田拡也氏が提唱するもので、ドローンのメーカーやシステム開発を請け負う会社とエンドユーザーの間に立つプロバイダーが個々のドローンの運用状況を管理する仕組み。行政が個人に対してドローンの免許を発給する業務も、プロバイダーによる「加入審査」等に代替することができ、小林氏は「携帯電話ビジネスにおける通信キャリア」に当たるものと解説する。

 2022年には、ドローンの国内市場規模が400億円を突破するとの予測もある。今後、ドローンによる何らかのビジネスを考える人はもちろん、従来のラジコンのように趣味として「安全に」飛ばしたいという人にも、必読の一冊といえそうだ。