ミニ四駆バー「DRIBAR」の女性スタッフ
ミニ四駆バー「DRIBAR」の女性スタッフ
ミニ四駆バー「DRIBAR」のオーナー・宮地慶さん
ミニ四駆バー「DRIBAR」のオーナー・宮地慶さん
店内のコースには2つが設けられ、タイム計測も可能だ
店内のコースには2つが設けられ、タイム計測も可能だ

 1980年代後半から90年代にかけて、少年たちを中心に絶大な人気を誇った「ミニ四駆」。そのブームが再燃している。今回のブームの中心は、大人たち。かつておもちゃ屋や自宅のコースで走らせていた少年たちが今向かっているのは、夜の街に現れる「ミニ四駆バー」だ。

 ブームの再燃を受け、全国各地に登場している、ミニ四駆バー。今回はブームの中心が大人であることから、仕事後に気軽に走らせたり、お酒を飲みながら楽しめるところが受けているようだ。店内にコースを設置し、マシンのチューニングや改造ができるスペースや工具を用意するほか、飲食物を提供する。

「私もほかのミニ四駆バーに通っていたんですが、次第に自分でもお店を持ちたいと考えるようになりました。そして、どうせやるなら広いスペースでゆっくりと楽しめるお店を、山手線の内側に開きたいと思ったんです」

 そう語るのは、東京・池袋駅から徒歩3分にあるミニ四駆バー「DRIBAR」のオーナー、宮地慶さんだ。今年6月にオープンし、100平米超の面積はほかのミニ四駆バーと比べて倍近い広さになるという。筆者が取材したのは土曜日の15時頃だったが、すでに20人ほどが来店していた。

 初めて来店する人のうち、およそ3割はかつてミニ四駆で遊んでいた「復帰組」だ。手ぶらで来ても走らせられるよう、セットやパーツを店内で販売されるほか、組み立てるために最低限必要な工具を無料で貸し出す。一方、「ガチ勢」と呼ばれるヘビーユーザーのために、広いスペースを生かした作業スペース(1回=300円)も設けている。

「『工具スペース』と呼んでいますが、ここでは切削などの作業ができる工具を用意しています。ちょっと気を使う作業になるので、『飲酒運転禁止』ならぬ『飲酒作業禁止』です(笑い)」(宮地さん)

 料金体系は90分の飲み放題・走らせ放題で1500円(12歳以下は750円。またビールは別途1杯200円)。ミニ四駆一式が揃う3000円の「初心者パック」も用意する。また、店舗では各種ドリンク・フードを取り揃えているが、そのほか飲食物の持ち込みや、来店客が各自で出前をとれる。

 今回のミニ四駆ブーム、その特徴はどんなところにあるのだろうか。

「子どものころは、高くて手の届かなかったパーツが大人となり買えるようになったことで、いま一度始める人がいる。また、経験者がお互いに同世代であったり、あるいは親御さんが子どもに『ミニ四駆やってみようぜ』と呼びかけるなどして、輪が広がっているというのもありますね」(同)

 また、大人を改めて夢中させるその魅力については、宮地さんはこう続ける。

「人によって、パーツの選び方がまったく違う。できる限りコースアウトしないようなマシンづくりをする人がいれば、ボディーの見た目を重視する人もいたり……遊ぶ人それぞれの性格が如実に現れる点も、ミニ四駆の面白さだと思います」

 あの頃買えなかったパーツを手に、自分がかなえたかった理想のマシンを作り上げる……そんなところに、大人たちは魅了されているのかもしれない。

 バーの営業時間は23時(金・土曜は翌朝5時)まで。手ぶらで赴くのはもちろん、仕事帰りに自慢のマシンを携えて、「ちょっと一杯」とともに、ミニ四駆で「ちょっと一走り」なんてこともできそうだ。

(ライター 藤麻迪)