日韓共生の未来像を地方の視点から考える「日韓地方紙フォーラム」(主催・「河北新報社」「公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団」)が7月11日、仙台にて開かれた
日韓共生の未来像を地方の視点から考える「日韓地方紙フォーラム」(主催・「河北新報社」「公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団」)が7月11日、仙台にて開かれた
パネルディスカッションでは「ナショナリズムと排外主義の台頭をどう克服するか」「地方紙が果たす役割」などのテーマに沿って活発な議論が行われた
パネルディスカッションでは「ナショナリズムと排外主義の台頭をどう克服するか」「地方紙が果たす役割」などのテーマに沿って活発な議論が行われた

 2015年、日韓国交正常化50周年の年。現状、政府間でのぎくしゃく感が否めない日韓関係だが、地方紙の役割を探り、草の根レベルの交流を通じた善隣外交を模索しようと、日韓共生の未来像を地方の視点から考える「日韓地方紙フォーラム」(主催・「河北新報社」「公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団」)が7月11日、仙台にて開かれた。日本からは、河北新報社と新潟日報社が参加。韓国からは京仁日報社、慶南新聞社、統一日報社の3社が参加した。

 河北新報社の一力雅彦社長は、東日本大震災で韓国から受けた支援に感謝の意を述べるとともに、「地域と地域、人と人をつなぎ、民間交流の橋渡し役を務めるのが地方紙の大きな役割。両国の地方紙がネットワークを結び、身近なところから交流を深めていけるようにしたい」とあいさつした。

 パネルディスカッションでは、「国交正常化50周年を迎えた日韓関係の現状について」「ナショナリズムと排外主義の台頭をどう克服するか」「地方紙が果たす役割」などのテーマに沿って活発な議論が行われ、統一日報社の洪ヒョン論主幹は、マスコミにおける日韓関係の報道内容の現状に触れ、「政治リーダー同士のぎくしゃく感ばかりが目立つ。報道に市民があおられれば摩擦が起きるのも当然。そのような報道の仕方にも問題がある」と意見を述べ、新潟日報社の森沢真理論説編集委員室次長は「一人一人のレベルで考えると、本当に関係は悪化しているのか疑問である。地方紙から日韓交流にスポットを当ててみると、各地方で様々な交流が積極的に行われていることがよくわかる」と話した。

 河北新報社の鈴木素雄編集局長は「地方紙が地域社会にスポットを当てた報道を続けることが国を動かす力になる。地方紙が果たす役割は大きい。これからも韓国メディアとの交流をぜひ続けていきたい」と語った。

 本フォーラムは、国対国、東京とソウルなど、固定化した図式で両国関係を捉えるのではなく、地方の市民間の交流を通じて友好の輪を結ぼうと企画されたもので、今後も続けていきたいと主催側も前向きだ。

 また、主催した「河北新報社」「公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団」が後援し、東北で暮らすコリアンにとっての東日本大震災を聞き取り調査からまとめた本『異郷被災』も7/11に発売される。日韓国交正常化50周年の今年。日韓交流の様々な動きに注目したい。