東北新幹線で使われているE5系。壁際にコンセントがあるのは今や当たり前になっている
東北新幹線で使われているE5系。壁際にコンセントがあるのは今や当たり前になっている
30年前に登場した100系には、コンセント使用可能な座席があった
30年前に登場した100系には、コンセント使用可能な座席があった
車内でコンセントが使える主な新幹線・特急車両(編集部調べ・2015年6月現在)
車内でコンセントが使える主な新幹線・特急車両(編集部調べ・2015年6月現在)

 最近車内でコンセントが利用できる列車が増えている。東海道新幹線「のぞみ」や東北新幹線「はやぶさ」などに乗った人はご存じだと思うが、窓際の足元にコンセントが設置されているのが、今や当たり前になってきている。
 
 電池の持ちがよくないスマートフォンをお使いの人にとって、電車にあるコンセントの存在はまさに渡りに船といったところだろう。長時間過ごす新幹線や特急の車内では、コンセントの存在は非常にありがたいものだ。コンセントがあるだけで、バッテリーの消費を気にせずに、ノートパソコンで仕事をしたり、スマートフォンで動画を見たりできる。

 思えばこの車内のコンセント、いつからあったのだろうか? 調べてみるとその歴史は意外に古く、30年前の1985年にさかのぼる。

■新幹線の座席コンセントは30年前からあった!

 1985年といえば、プラザ合意が行われ円高一直線、世の中がバブルへ向かって突き進んでいた時代だ。この年の10月、東海道・山陽新幹線に100系という車両が投入されることになる。100系は、新幹線開業当初から走っていた0系の後継車で、新幹線では初の2階建て車両を連結していることで話題を集めていた。2階建て車両の1階には、個室のグリーン車が備えられており、コンセントが設置されていたというのだ。

 この個室グリーン、政治家や芸能人が愛用したと言われており、その豪華さは今にはないものだった。専用の受話器が備え付けられており、ルームサービスとして食堂車に食事の注文も可能だった。1人用個室では、座席も電動リクライニングになっており、窓際に大きな机も置かれていた。コンセントはあくまで“おまけ的存在”に過ぎなかったのだ。現在、東北新幹線や北陸新幹線では「グランクラス」というグリーン車の上をいくサービスが行われているが、個室グリーンはこの先駆けとも言えるものだったのだ。

 なぜ、個室グリーンにコンセントが設置されていたのか。JR東海の広報によると「乗客サービスの一環として設置していた」としている。

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