4.中央銀行による金の継続的な取得

中国が4000トン以上の金を収得したと発表したら、それは諸国の中央銀行による金の取得というトレンドの重要なしるしであり、インフレの前触れになる。

5.IMFのガバナンス改革

IMF(国際通貨基金)の国際準備資産であるSDR(特別引き出し権)の通貨バスケットの構成がドルの比重を下げるように変えられたら、それはドル・インフレの早期警報である。あるいは、巨大グローバル企業がSDR建ての社債を発行し、それが政府系ファンドや地域開発銀行のポートフォリオに組み入れられたら、それはSDRを世界貨幣にする計画が加速しているサインだ。

6.金融規制改革の失敗

大手銀行の規模を制限し、銀行の資産集中を減らし、投資銀行活動を抑制しようとするアメリカの規制機関や議会の努力は、銀行のロビイストたちによってくじかれるだろう。銀行ロビイストは議会で圧倒的優位を占めており、改革の努力が表面的な成功以上のものを達成すると考えるのは難しい。改革が行われないかぎり、2008年のリーマン・ショック以来のシステム崩壊が、ふたたび起こるにちがいない。

7.システムの崩壊

2010年5月6日のフラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)、2012年8月1日のナイト・トレーディングのコンピューターによる誤発注、2013年8月22日のナスダックの一時閉鎖――。これらの混乱は、徹底的に自動化された高速大量取引マシンの悪質ないたずらだ。このような現象が増えた場合には、取引システムがぐらついているか、不均衡に向かっている、あるいは中国かイランがサイバー攻撃能力を完成させつつあることを示唆している可能性がある。そのうちに、問題が制御不能になって、市場閉鎖という事態を招くだろう。

 これらのサインは必ずしもすべてが現れるわけではないが、今すぐに発生してもおかしくはないものばかりである。いずれかのサインが実際に現れた場合は、その具体的な結果と投資にとっての意味合いに注意を払ってほしい。