そうして緑地に愛着を持つようになった観察会出席者たちは、自主的に緑地の手入れをするようになった。クヌギの木に取り付けてある鳥の巣箱(シジュウカラやたまにスズメが利用)や、落ち葉のコンポスト、トンボ池などはそうした社員たちがつくったものだ。

 最初はソニーが行っていた観察会は、「電機・電子4団体」という業界団体でともに環境問題に取り組むワーキンググループに参加していた明電舎にも波及した。明電舎はソニーのオフィスビルの隣のビル、シンクパークタワーに入っている。しかも、このビル同士は環境省が進めた「サステイナブル都市再開発促進モデル事業」の一貫で、目黒川を軸として風を通しヒートアイランドを緩和するために一体化した緑地がある。2社が「一緒に観察会をやりましょう」と手を取り合うのに時間はかからなかった。

 また全国のソニーグループの事業所にも活動が広がり、2014年度は全国9ヶ所で自然観察会を開催、海外の事業所でも動きがあるという。

 ソニーは社内から企業間へ、そして次は会社外の人たちにも自然のすごさを伝えたいと、8月には一般参加可能な観察会「セミの羽化観察会」を開催予定だ。また、気軽に自然のおもしろさや楽しさを伝え合うためにFacebookページ「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」もオープンした。こちらは誰でも書き込み可能だ。

 社内から徐々に外部にも生物多様性的なつながりを作り出しているソニーの取組は、企業が環境活動に取り組むときひとつのモデルといえるだろう。(島ライター 有川美紀子)
 
【関連リンク】
ソニーとNACS-Jは共同で新しいプロジェクトもスタートさせた
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/eco/waowao.html