「学生街だと同性のお友達同士でも保証人さえしっかりしていれば、賃貸契約は結びます。銀行による同性カップルへの不動産ローン貸し付けが増えれば、不動産賃貸契約で同性カップルを拒む理由もなくなる。“一定の条件”を満たせば、同性カップルの収入合算での賃貸契約審査も今後は行うという流れできるかもしれません」(名古屋市内の不動産業者)

 「一定の条件」とは、渋谷区が発行を予定している「パートナー証明書」や「双方、互いを後見人とした公正証書の作成」といった同性カップルであることの証明のことだ。

 しかし、すべての銀行や不動産業者がこうした流れを是としているわけではない。

「婚姻は法的に認められたカップル。しかし『双方、互いを後見人』『自治体によるパートナー証明』のカップルは、現行法で認められたカップルではない。だから、不動産契約時にカップルの収入を合算して、契約審査するのはどこか違和感を覚える。個人の心情ではなく、法制度上の話だ」(都市銀行の役員)

 渋谷区が発行する「パートナー証明書」には罰則規定はないが、銀行や不動産業者などの民間業者が、この趣旨に反する行為を行い、是正勧告に従わなければ事業者名を公表する規定が盛り込まれている。

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