イオンを見れば庶民消費がわかる?格差大国アメリカを追う日本 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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イオンを見れば庶民消費がわかる?格差大国アメリカを追う日本

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著書を持つエコノミストの中原圭介氏(右)と聞き手の金融アナリスト・三井智映子氏(左)

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中原圭介(なかはら・けいすけ):アセットベストパートナーズ代表

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三井智映子(みつい・ちえこ):フィスコリサーチレポーター NHK教育「イタリア語会話」でデビューし女優として活動

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◆これからの日本経済、2つのシナリオ

三井 今、日本はインフレ政策に舵を切ったわけですけれども、中原さんが考えておられる、日本のゆくえについて楽観的な予測と悲観的な予測を伺えますか? まずは楽観的なほうからお願いします。

中原 結局、国民の生活がなかなか良くならなくて、安倍政権の支持率が下がって退陣。そして、次の政権で、インフレターゲットをやめれば、本当の意味で回復できるのかなという感じはしますね。
 日銀も金融緩和をあと3年続けることはできないですから。続けられてあと1年半です。
三井 そうですね。やはり株式市場でも、2017年は下がるのではないかという予想がもうすでに出ています。

中原 もうインフレを人為的につくり出すのは無理な環境になってきているわけです。ですから、これからはできる限りうまく軟着陸するのが一番いいですね。
 楽観的な話をもう一つしますと、日本の賃金はまだ高いですけれども、その間に新興国の賃金は上がっているわけです。
そうすると、日本と海外の賃金の差が縮まってくるわけです。そういった意味では、あと10年もすれば、かなり日本の競争力は上がってくるのかなと思います。

三井 なるほど。今まで人件費が安いから海外でやろうみたいなことが、日本でいいんじゃないかということになってくるということですね。

中原 確実に海外と日本の賃金の差は縮まっているわけです。それは競争力の差が縮まってくるということですよね。日本の競争力が、相対的に上がってくるということです。
 だから10年ぐらいの単位で見れば、私はそんなに悲観はしていません。
 本当は、インフレ目標なんかやっていなければ、私は2017年にはかなり経済は良くなっていると予想していました。なぜなら、それまでに原油価格が下がって、実質賃金が上がっていく。その中で成長戦略も効果を発揮してくる。着実に効果を発揮できるというシナリオを描いていたんですよね。
 ところがインフレターゲットなんかやったものだから、景気が良くなるまでにだいたい3年くらいロスしたなと思っています。

三井 そう考えている方は、少ないですよね。今、「自分の実質賃金は上がらないけど、株価は上がっているし、この先景気はよくなるはずだ」という方が多いと思います。

中原 万国共通ですけど、株価が上がってくると、一般庶民まで景気が良くなったと勘違いするんです。自分は持っていないけど、景気が良くなったように勘違いしてしまうんです。
 アメリカが典型的ですが、「お金持ちによるお金持ちのためのお金持ちの政治と金融政策」です。これは決して差別の意図はないのですが、実のところ、アメリカの庶民といわれる人たちは、日本人よりも情報弱者です。
 だから、今までインフレで自分たちの実質賃金が目減りしていたのに、それに明確に気づくことができなかったんです。なぜかと言うと、彼らはメディア、主にテレビが情報源です。テレビのスポンサーは誰ですか。

三井 大企業。

中原 そう。結局、大企業がテレビを通して「インフレというのは経済に良い影響をもたらす」という意識付けをさせるわけです。さまざまな経済コメンテーターが、インフレがいいんだ、インフレがいいんだと言うと、みんなそう思ってしまうわけです。
「これはちょっとおかしいぞ」と気づき出したのが2011年で、「ウォール街を占拠せよ」というデモになったわけです。


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