ただ、これほど軽量化が進むと強度が心配になる。そのことを尋ねると、参加者本人も「そこも試行錯誤しながらカスタムするのが勝負」とうれしそうに語っていた。その試行錯誤そのものが、この男性のミニ四駆の“個性”であり、醍醐味なのだろう。

 この男性のように「速さ」を求めた結果、“個性派”な「見た目」に行き着くマシンもいくつか見られたが、明らかに「見た目」そのものを目的にカスタムしているであろうミニ四駆も会場では目についた。ミニ四駆であることを忘れさせるような実車さながらのフォルムを持つものもあれば、車体が置かれる環境までもジオラマで再現されたアート作品のようなものまで……それはまさしく「魅せる」ミニ四駆であった。

「今のミニ四駆は、速さだけでなく見た目にこだわってカスタムする楽しみ方もある」と前出の半谷さん。その言葉を反映してか、タミヤ主催のミニ四駆競技会イベントでは、毎回マシンのビジュアルを中心に競い合う「コンクールデレガンス」が実施され、この日の会場でも多くの“個性派”ビジュアルのミニ四駆たちがエントリーし、来場者たちを楽しませていた。

 「速さ」だけでなく「見た目」でも個性を演出できるミニ四駆。そのカスタマイズの幅の広さもまた、今日のミニ四駆人気の一因と言えそうである。

(ライター・種藤潤)