この日の会場でひときわ目を引いた、極限までボディーをくりぬいた超軽量化マシン。その緻密なカスタムは、他の参加者たちからも注目の的だった
この日の会場でひときわ目を引いた、極限までボディーをくりぬいた超軽量化マシン。その緻密なカスタムは、他の参加者たちからも注目の的だった
こちらは「魅せる」ミニ四駆のひとつ。ボディーやシャシーなどにも加工がほどこされ、ミニ四駆ということが分からないほど実車の雰囲気が再現されていた
こちらは「魅せる」ミニ四駆のひとつ。ボディーやシャシーなどにも加工がほどこされ、ミニ四駆ということが分からないほど実車の雰囲気が再現されていた
「見た目」を競い合う「コンクールデレガンス」のエントリー車が並ぶラックの様子。多様な
「見た目」を競い合う「コンクールデレガンス」のエントリー車が並ぶラックの様子。多様な"個性派"ビジュアルを来場者たちも楽しそうに眺めていた

 巷では“第三次ブーム”とも呼ばれ、今や子どもだけでなく大人も一緒に楽しめる世代を超えたホビーとなったミニ四駆。その魅力のひとつとしてあげられるのが、自分の愛車としてマシンをカスタマイズできることだ。

 都心のミニ四駆の聖地として知られる「タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店」の地下1階にあるミニ四駆コーナーでは、約200種にもおよぶカスタムパーツが販売され、おのおののマシンに合ったスタイルを試行錯誤しながら、パーツを選び、愛車を仕上げていくのが王道的なミニ四駆の楽しみ方だという。

 同ファクトリーのストアマネージャーである半谷孝道さん曰く、「同じ車体、同じカスタムパーツを使っても、加工や設置の方法によって、必ずその人の個性がミニ四駆には出る」らしく、その個性を育むこともミニ四駆の人気の一因となっていると推測できる。

 しかし果たして、実際にはどのような個性が存在するのか――その真相を確かめるべく、3月下旬に東京・品川シーサイドで行われた「ミニ四駆グランプリ2015 SPRING 東京大会」会場を訪れてみた。

 イベントがスタートする朝9時に会場を訪れると、すでに黒山の人だかりであった。午前中から予選レースが順次行われ、その予選を勝ち抜くために会場のいたるところで参加者たちが自分の愛車をメンテナンスしていた。

 そのマシンを眺めると、もとの車種はある程度推測できるが、ひとつとして同じ雰囲気のマシンは存在せず、その人の個性がしっかりと息づいていた。ただ、その目的はあくまで「速さ」であり、それがレースの結果として出てくる訳だが、その「速さ」とは別に、明らかに目を引く“個性派”マシンが存在した。

 そのシャシー上を覆うボディー部は、原型がかろうじてわかるぐらいにほぼ全面がくりぬかれた状態。そのため、内部のモーターなどは丸見えだった。「速さ」を追求するためにはボディーを軽量化するのが常で、そこにこだわり抜いた結果が、こうした“個性”につながったという。

「どこまでくりぬいて軽量化できるかが私のこだわり。シャシーやホイール、タイヤも細かくくりぬき軽量化しています。ここまで来ると主催者のレギュレーション(レース出場時のルール)とのせめぎ合いですが、一応このマシンはそのレギュレーションをチェックする車検でOKが出ています」(参加者の男性)

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