中高年と老年期では注意すべきポイントも違ってきます。たとえば肉や脂を控えた粗食が健康によいとされるのは、心臓病や脳卒中の原因となるメタボ予防のためですが、メタボ予防が必要なのは、40~60歳代の中高年までの話。70歳以降は食が細く低栄養になりがちなので、タンパク質や脂肪は必要です。女性はとくに骨がもろくなって骨折しやすいので、意識してカルシウムを摂り、転ばないように注意してください。骨量は健康診断やかかりつけ医で定期的にチェックを。骨粗鬆症で治療が必要な場合もあります。

 また、脳と心の健康も大事です。「退屈」「孤独」という老年期の2大ストレスで悩まないようにするには、周囲の人たちと交流し、楽しめる作業や趣味を見つけておくこと。楽しいだけでなく脳が活性化するので、高齢化とともに増えている認知症の予防にも役に立ちます。

 会社を定年退職した後、ゴルフや登山を始める人は多いようですが、こうしたアクティブ系の趣味はそこそこの体力が必要なので、いつまでもというわけにはいきません。詰め将棋読書のように体を動かさなくてもできて、ひとりでも楽しめる趣味も確保しておくといいでしょう。

 なお認知症予防として脳の活性化を心がけることは大事ですが、完全に予防できるものではありません。「おかしいな」と感じたら、早めに医療機関を受診してください。

 認知症に限らず健康に自信がある人でも、年を重ねるにつれ、不具合がでてくるのは避けられません。気軽に相談できるかかりつけ医が近所にいれば安心です。相性のいい内科医を見つけておきましょう。

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