ではどうすればよいのか。除菌クリーナーでふき取るのがおすすめだそうだが、「汚れを出さない、ため込まない」ということも重要だという。例えば、男性は尿はねを減らすために座って用を足す、1日1回は便座の裏側をふく、ほこりに気づいた時にさっとふく、といったことだ。ちょくちょく換気して空気中のほこりを取り除くのも効果的だそうだ。

 しかし、ほこりを出さないようにしても安心できないかもしれない。同じく日用品メーカーのジョンソンが運営する掃除のコツなどをまとめたサイト「暮らしの『はてな』?」によると、トイレの中で、最も菌が多いのは、便器でも便座でもなく、掃除で使うブラシだというのだ。

 同社が一般家庭を対象に調査したところ、10平方センチ当たりの菌数は、便器1~83個、便座3~50個、床1~94個に対し、ブラシ1本当たりの菌数は、8000万から23億個に上った。他の調査では、「ブラシには1本当たり7万2000~330万個のカビが付着している」という結果も出ており、これらはブラシケースの湿った環境の中でどんどん繁殖していくという。

 そして掃除を終えてブラシをケースにしまう際の水切りも、汚水を周りに飛び散らす原因になっているとか。ブラシに菌やカビを繁殖させないためには、日光消毒して十分に乾燥させて保管する、使い捨てのブラシを使う、といった対策が有効だそうだ。

 想像するだに恐ろしい“菌まみれ”の場所、トイレ。トイレにスマホや雑誌を持ち込んでゆっくりする人もいるだろうが、それは、トイレの菌をわざわざ別の場所に持ち運んでしまうことにもなる。こうなってくると、“憩いの空間”どころではない。

 慌ただしい生活の中で、ほっと一息つける場所も必要だが、トイレにこもり過ぎるのも考えものかもしれない。「トイレ掃除をすると、美人になる」とも言われているし、休みを利用して、徹底的に掃除してみてはいかがだろうか。

(ライター・南文枝)