家の各部屋のほこり1グラムに含まれる一般細菌の数(ライオン提供)
家の各部屋のほこり1グラムに含まれる一般細菌の数(ライオン提供)
ほこりがあると、それを栄養に菌の数は一気に増える(ライオン提供)
ほこりがあると、それを栄養に菌の数は一気に増える(ライオン提供)

 家の中で、1日に何度も訪れてしまう場所、トイレ。狭い個室の中で物思いにふける、スマートフォン(スマホ)や雑誌をチェックするのは日常茶飯事、なんて人もいるだろう。すっきりするだけでなく、人によっては“憩いの空間”でもあるトイレだが、こわ~い秘密も隠されているようだ。

 例えば、ふと目をやると、トイレの隅にたまっているほこり。そのうち掃除しないと、と思っているうちにどんどん増えていくほこりだが、他の部屋のほこりとは違い、たちが悪いものらしいのだ。

 日用品メーカーのライオンの調査によると、このほこりの成分は、トイレットペーパーや衣類から出る繊維だという。そして、同社が首都圏の7家庭のトイレから採取したほこりを調べたところ、なんと、1グラム当たり数十万から数百万個もの細菌が見つかったというのだ。

 この数字はリビング(数万~数百万個)や寝室(数万~数十万個)と比べると圧倒的に多かった。さらに、出てきた菌の種類を調べたところ、トイレのほこりのみ、臭いの元となるブドウ球菌や、菌種によっては食中毒の原因ともなる大腸菌群の両方が見つかった。

 なぜトイレのほこりには多くの菌が潜んでいるのか? 同社は原因を突き止めるため、ブドウ球菌と大腸菌群にトイレットペーパーと綿を混ぜた“モデルほこり”を加えて培養。24時間後、どちらの菌もほこりを加えた方は、加えていない方の約10倍に増えていた。どうやら菌はほこり自体を栄養にしてどんどん増えていくらしい。

 またやっかいなことに、ほこりの菌と尿はね(飛び散ったり、トイレの水と混ざったりした尿のこと)が混ざると、尿から出るアンモニアは3倍にまで増え、臭いが強くなるという。同社の担当者は、「トイレを “菌まみれ”にしないために、こまめにほこりを取り除くことが大切だ」と指摘する。

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