そんな久慈さんの酒造りには"革新"を生むための工夫が光る。例えば、日本酒の原料となるコメに、水を吸わせる「吸水」という作業だ。目指すのは30%コメに水分を吸わせた状態。しかし、気温などによって吸水率は微妙に変化するため、これまでは熟練の杜氏がコメの色を見ながら経験と勘で吸水率を判断していた。

 そこで久慈さんが取り入れた工夫が、ザルをステンレス製にするということ。これまでは竹のザルを使用していたが、竹ザルはザル自体が水を吸うため、重さで吸水率を判断することができなかった。水を吸わないステンレスのザルを使うことで、正確な吸水率を取れるようになったのだ。

 また、洗ったコメを蒸す作業では「疑似米(ぎじまい)」という工夫アイテムが登場する。これはプラスチックの粒で、これを蒸し器に敷き詰めてから、コメのせて蒸すことで、「一番下になるコメが悪くならない」のだという。

 放送では、この他にも、海外からも注目を浴びる、「南部美人」のさまざまな取り組みが登場する。

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