就役したヘリコプター搭載護衛艦「いずも」
就役したヘリコプター搭載護衛艦「いずも」
護衛艦「いずも」の全景
護衛艦「いずも」の全景
護衛艦「いずも」の艦尾
護衛艦「いずも」の艦尾

 日本に戦後初の“空母”が誕生した。ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が3月25日、横浜市内の造船所で就役した。「いずも」は全長248メートル、全幅38メートル、基準排水量約1万9500トンという大型艦。その大きさは旧日本海軍の主力空母「飛龍」を超えるスケールだ。いったい、どんな艦なのか。元自衛艦隊司令官の山崎眞氏に解説してもらった。

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 まず、外観を見てみよう。艦首から艦尾までが平たい「全通甲板」を備えている。その甲板には5カ所のヘリコプターが離着陸できるスポットがある。哨戒ヘリは最大11機(通常は哨戒ヘリ7機、救難・輸送ヘリ2機)が搭載できるのだ。

「いずもは対潜水艦戦を主眼にしています。多数のヘリで、長期間に及ぶ作戦に従事できる。これまでのヘリ搭載護衛艦は、搭載数も少ないうえ、エンジンの取り換えなど、高度の整備が十分にできなかった。しかし、いずもは洋上を基地にして、ヘリを運用できる高い能力を持っています」(山崎氏)

 「いずも」に似たヘリ搭載護衛艦には「ひゅうが型」があるが、その大きさは全長197メートル、全幅33メートル、基準排水量約1万3950トンで一回り小さい。哨戒ヘリは最大7機(通常は哨戒ヘリ3機、救難・輸送ヘリ1機)と「いずも」には及ばない。しかし、山崎氏は、最も大きな違いは装備された武器だという。

「『ひゅうが型』には大砲がないですが、通常の護衛艦と同じ武器システムが装備されています。しかし、『いずも』は接近した敵ミサイルを迎撃する防御用のミサイルなど最低限の武器しか搭載されていません。あくまで、その任務を航空機の運用に特化させています。こうした特徴もヘリ空母と呼べるゆえんでしょう」

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