実際、注文がなくなったわけではない。現在は職人が3人と、ピーク時の10分の1に減ったために生産数が減ったのは事実だが、それでも年に数万個を製造しており、現在もなお、12月受注分を(予定より遅れつつ)製造中なのだという。

 ところで、ニュースの力は大きく、記事が出てからの数日間、電話が鳴りっぱなしだったようだ。

「皆さん、子供のころに地球ゴマで遊んだことを懐かしみながらも、地球ゴマがなくなってしまうことに、惜しい、寂しい、残念、と伝えてくれます」(鳥居さん)

 そう、増産が難しいというだけで、地球ゴマはまだまだ現役なのだ。そして実は、地球ゴマの製造終了も、まだ完全な確定事項ではない。鳥居さんは「事業を引き継ぐ人がいれば、地球ゴマは残っていくことも十分可能」なのだと語る。

「歴史的にも地球ゴマは貴重な日本の財産ですし、失うにはもったいない。それでも職人が高齢でこれ以上は継続できない、という現状ですので、なんとかそれを打開すべく、新たな後継者探しをしようと思います」(同)

 そんな鳥居さんは、最新技術で再設計した斬新なデザインの「フェラーリのような地球ゴマ」を誕生させたいと夢想しているという。

 地球ゴマの存続を願い、かつ鳥居さんの夢に賛同し、何より技術者、経営者として引き継ぐことに興味のある方は、ぜひとも名乗りを上げてほしい。地球ゴマ生誕から今年で94年、今から後継者になるのなら、地球ゴマ生誕100周年の当事者はあなただ!

(ライター・田中元)