「地震や津波は誰もが具体的に予見できるものではありませんが、世界でも有数の地震大国である我が国では、何が起きてもおかしくないものである以上、万が一のことを考えて、東京電力がメルトダウンをしないよう回避措置をとるべきです。ひとたび事故が起きれば人間の力では回復しえないような巨大な破壊力を抱えている事業者としては、一抹の不安でもあれば、それを拭い払う努力をするのは最低の義務と言わねばなりません。」と同教授はコメントした。
 
 また、東京地検は「回避措置をとっていても被害は防止できなかった」という趣旨のことを述べているが、同教授によると、

「これこそいい加減な推測です。なすべきことをなさなかった者に、どうせ回避措置をとっても事故は防げなかったのだから免責されると言うのは、無責任な事業者を放置することになります。それでは検察は理非曲直を明らかにすべき職責を放棄したと言わねばなりません。検察審査会は再審査に入り、良識を発揮して起訴議決をし、検察官の怠慢を叱責することになるでしょう。」

 今後、検察審査会は2回目の審査を行うことになり、東電元幹部3名に対して再び「起訴相当」と議決した場合は強制起訴となる。引き続き今後の動向が注目される。

(文・構成:『福島原発、裁かれないでいいのか』編集チーム)