中日ドラゴンズの福谷浩司投手は1991年、愛知県生まれ。文武両道を目標とする本人の意思で、地元進学校の愛知県立横須賀高校から慶応義塾大学理工学部に進む。大学進学後は、授業や実験が忙しいなか、量より質の練習で頭角を現し、2012年ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団する。今シーズンは、中継ぎ、抑えとしてリーグを代表する活躍。オールスターにも選出された。そんな福屋投手に高校、大学時代の学生生活を振り返ってもらった。

オールスターにも選出された @@写禁
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「高校の時に1回だけ赤点をとったことがありまして。苦手な古典だったのですが、その古典の先生が野球部の監督でした」(笑い)

 こう語るのは、慶応義塾大学理工学部を卒業し、ドラフト1位でプロ野球・中日ドラゴンズに入団した福谷浩司さん。小学校低学年時代には通信教育を受講していましたが、付録は楽しみにしていても、「ドリル自体に手をつけた記憶はない」とか。国語と社会は苦手だったけど、算数は得意でした。

「教育番組で『ハテナを持とう』と言っていたのを今でもよく覚えているのですが、小さい頃はよく親に『なんでやねん?』というのが口ぐせだったようです」

 理数系の頭脳には欠かせない「なぜ?」という探求心。それが、慶応理工学部に進んだルーツともいえそうです。

 小学校時代から野球に打ち込んでいた福谷さんですが、文武両道を可能にしたのは、やはり時間の有効活用があったようです。
「授業中にクラスで一斉に演習問題に取り組んだ時に、解き終わって時間が余ったりするじゃないですか。そんな時も教科書をめくって勉強していましたね。学校生活は集団で動くのが基本ですけど、その集団行動の中にもけっこうすきま時間ってあるんですよね」

 そんなすきま時間を活用する意識は、「時間の質」を高めることにもつながったようです。大学の野球部はスポーツ推薦で入学した選手が多かったのですが、そんなライバルとも競うためには、時間の量より質で勝負することが大事だったと福谷さんは振り返ります。
「今日の練習はどういう目的で組まれているのか、それを強く意識するかどうかで、身につくものが格段に違ってくる。同じ時間を費やしていても、『時間の質』が変わってくるということですね」

 そんな自覚を持てるようになった背景には、自分の好きなことをやらせてくれた親御さんの見守りがあったからだとも言います。
「勉強のことをとやかく言う親ではありませんでしたし、あれをしろ、これをしろとも言われなかった。好きなことをやっている時が、人として一番伸びるということを知っていたのではないかと思います。今の僕が一番大切にしているのも『好きこそものの上手なれ』という言葉です」

「好き」から生まれた自信が、福谷さんの文武両道の大きな原動力にもなったはずです。

『AERA with Kids2014冬号』より

※今回インタビューした福谷投手のサインボールと色紙をプレゼントします。詳しくは本誌をご覧ください

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2015年 01月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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