■ヤンキーだから凄いのか

「自分は特別なスターなので、いつも最先端にいなければ気がすまない」

 そんな「邪念」にとらわれて血迷うようなことをけっしてしないので、小泉今日子はすんなりよい方向に変わっていける―― この点は、たしかに事実でしょう。

 けれども、

「芸能界のようなギラギラした世界に身を置いていた小泉今日子が、『自分は特別』という意識にどうして縛られなかったのか?」

 この疑問がなかなか解けなかったので、大学時代の先輩 ――小泉今日子より三つ齢上の女性です―― に相談してみました。

「それはキョンキョンがヤンキーだったからだよ」

 先輩は、そう即答しました。ヤンキーの世界では、仲間とのつながりが最優先で、物欲とか自分の序列を上げることとかは、二の次になるのだそうです。

 しかし私は、この先輩の意見にも納得できないものを感じました。

※小泉今日子の「謎」はどこにあるのか(下)につづく

※助川幸逸郎氏の連載「小泉今日子になる方法」をまとめた『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が発売されました

(注1) 「私の好きなようにさせて」小泉今日子の男前っぷりと酒豪伝説 「メンズサイゾー」2013.7.31
(注2) 独占インタビュー90分 小泉今日子 わがアイドル時代、そして『あまちゃん』のことを語る 「週刊現代」2013.9.21~28
(注3) (注1)に同じ
(注4) 小泉今日子ロングインタビュー 目指すのは中年の星! 「AERA」2008.9.22

助川 幸逸郎(すけがわ・こういちろう)
1967年生まれ。著述家・日本文学研究者。横浜市立大学・東海大学などで非常勤講師。文学、映画、ファッションといった多様なコンテンツを、斬新な切り口で相互に関わらせ、前例のないタイプの著述・講演活動を展開している。主な著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(以上、プレジデント社)など