数々の来日アーティスト公演が開催された日本武道館
数々の来日アーティスト公演が開催された日本武道館

 日本好きを公言するロック・ミュージシャンは数多い。11月に発売された『ロックの神々』(朝日新聞出版)には、来日した大物ミュージシャンたちの日本への興味深い思い出がぎっしりと掲載されている。

 クイーンのブライアン・メイは、日本での成功をこう振り返っている。
「70年代の日本の思い出は貴重だな。日本はイギリス以外で最初にクイーンがブレークした国だから。僕らのロック・ミュージシャンとしてのキャリアにおいて、日本は非常に重要な国なんだ。熱狂的に僕らのことを支持してくれて、クイーンというバンドの基盤を築くもとになった。また、日本という国自体が、イギリスや他の西洋の国々とは違っていたから、新鮮な体験ばかりだった」

 イーグルスのグレン・フライは、日本人の勤勉さについて褒めそやす。
「初訪日の思い出で強烈なのは、サウンド・チェックに行った時のことだね。早く着きすぎたんで、ちょうどトラックから機材を積み下ろしているところを見ていたんだ。そうしたら、一人の男がメモ帳を持って座っていたから、何をメモっているのか尋ねたんだ。すると、『ケースが積み下ろされた順序をメモしている』って言ったんだ。『積み入れる時に同じ順序で入れられるから』って。後日、次のツアー会場に着いた時、全く同じ顔ぶれのクルーがいたんだ。だから、日本ではプロダクションの問題はいっさいないよ」

 スティングは日本とイギリスの共通点を分析する。
「80年代にはじめて日本に行った時、とても未来的な国だと思った。東京はサイエンス・フィクションに出てくる都市のように思えた。それは大まかに言えば間違いではないと思う。個人的には昔の日本を発見するのも好きだよ。京都のような都市に行き、中世の頃はどんな町だったんだろうと想像してみる。興味のつきない国だよ。イギリスとの共通点も多い。島国で国民性も似ている。エキセントリックな点もある。関連性は多いね」

 他にもジミー・ペイジ、ロバート・プラント、チープ・トリックらのインタビューも日本についての発言も多く、ミュージシャンごとに内容を比較してみるのも、読み方のひとつだ。