ヘディングで先制ゴールを決めた吉田麻也(c)朝日新聞社 @@写禁
ヘディングで先制ゴールを決めた吉田麻也(c)朝日新聞社 @@写禁
アギーレ監督もご満悦!?
アギーレ監督もご満悦!?

 ホンジュラスを迎えてのキリンチャレンジカップが11月14日、愛知県の豊田スタジアムで行われ、日本が6-0の圧勝を飾った。

 立ち上がりから試合を支配した日本は、9分に左CKからDF吉田麻也が頭で先制点を決めると、41分には本田圭佑が長谷部誠のクリアを拾って独走から追加点。その3分後には遠藤保仁が、豪快にミドルシュートを突き刺してリードを広げた。

 後半に入っても交代出場の乾貴士が代表初ゴールとなる2点を決め、豊田陽平も同じく代表初ゴールでホンジュラスを突き放す。終わってみれば18本のシュートを浴びせて6-0の圧勝劇を締めくくった。

 『呼んだ選手は使う』――アギーレ監督の選手起用は分かりやすくて気持ちがよい。前任のザッケローニ監督や岡田武史監督は、若手選手を招集してもなかなか使わず常連組を重視した。その理由を語ることはなかった。また、練習もほとんどが非公開のため、メディアはフラストレーションが募ったし、ファンも疑問に思ったことだろう。

 ホンジュラス戦では9月以来となる吉田麻也が定位置に戻り、内田篤人と長谷部、遠藤の3人がアギーレ・ジャパンで初出場を果たした。スタメン11人中、8人がブラジルW杯を戦った主力メンバーである。

 このため、開始直後の3分には内田のヘッドから本田が頭でつなぐと、パスを受けた遠藤がダイレクトで岡崎慎司にスルーパス。5分には長谷部から本田、遠藤とダイレクトでつないで、岡崎にラストパスを出した。オフサイドや相手GKにカットされてシュートまで持ち込めなかったものの、これまでの4試合と違い流れるようなパスワークが復活した。

 先制点は遠藤の左CKに、岡崎がニアサイドへ飛び込んでのヘディングシュートのこぼれ球をフリーの吉田が押し込んだもの。岡崎は、ペナルティーエリア線上から猛ダッシュで飛び込んだため、ホンジュラスの選手もノーマークだった。

 このCKやFKからのクロスに対し、ニアに飛び込むのはアギーレ監督の“約束事”のようだ。その後もセットプレーでは森重真人や吉田らが交互にニアに飛び込んでいたし、66分に左サイドを突破した豊田の低いクロスには、長い距離を走った本田がニアに飛び込んでいた。

 監督に就任後、非公開の練習ではCKやFKのトリックプレーを必ず実践している成果が5試合目にして現れたと言える。指揮官の約束事は他にもあるようで、こぼれ球を押し込んだ豊田は、セットプレーでも流れの中の攻撃でも必ずファーサイドに位置していた。

 相手のCKの際には、左右どちらからのCKでも武藤嘉紀はマークにつかず、自陣右サイドのペナルティーエリアの外で待機して、カウンターの起点になっていた。それは後半に交代した乾にも引き継がれ、武藤と同じポジションでその役割を担っていた。

 相手が歯応えに欠けるチームだったとはいえ、アギーレ流が徐々に浸透していることを証明したホンジュラス戦。次のオーストラリア戦ではどのような“約束事”を披露するのか。また新たな発見を確認できることを期待したいものである。
サッカージャーナリスト・六川亨)