さて、鳥谷のメジャー挑戦が決まったら阪神はどうなるのだろう。二塁・上本博紀、三塁・西岡剛はそのままにして、ショートには外野手でゴールデン・グラブ賞を獲得した大和をコンバートする案がまことしやかに囁かれている。

 2014年シーズン、阪神は上本を二塁、大和をセンターに定着、新人・梅野隆太郎を捕手で86試合に出場させるという若手抜擢を積極的に推し進めた。投手陣も13年に高校卒新人で10勝した藤浪晋太郎が2年目も11勝を挙げ、新人・岩崎優、2年目金田和之が揃って5勝、さらにシーズン後半には高校卒3年目の歳内宏明、松田遼馬が頭角を現すなど、チーム全体にこれまでになかった若手台頭の気配が漂い始めている。こういうとき鳥谷の後釜に外野手で27歳の大和を持ってくるというのはベターであってもベストの選択とは思えない。

 北條史也(2年目20歳)、西田直斗(3年目21歳)、陽川尚将(1年目23歳)の若手を二塁、三塁、遊撃のどこかで起用する、あるいは大和をショートにコンバートするなら空いた外野のポジションを横田慎太郎(1年目19歳)、緒方凌介(2年目24歳)、伊藤隼太(3年目25歳)、新人の江越大賀(駒大→3位)で争わせるなど、若手抜擢の機運を後退させないような配慮がほしい。そういうことをやりながら上位の力を保持し続けることで、阪神は巨人と並び立つ球界の盟主になれるのである。

(スポーツライター・小関順二)