藤野電力の拠点であるシェア・アトリエ牧郷ラボ。石膏のオブジェと太陽光パネルがお出迎え。
藤野電力の拠点であるシェア・アトリエ牧郷ラボ。石膏のオブジェと太陽光パネルがお出迎え。
藤野電力の拠点である牧郷ラボ。手前に設置されているのが太陽光パネル。
藤野電力の拠点である牧郷ラボ。手前に設置されているのが太陽光パネル。
事務所内の太陽光パネル裏のバッテリーには藤野電力のロゴが。
事務所内の太陽光パネル裏のバッテリーには藤野電力のロゴが。

 導入から2年余り。ここにきて固定価格買取制度(FIT)の問題点が表面化している。

9月末、電力5社(北海道、東北、四国、九州、沖縄)が再生エネの新規接続を中断すると発表。電力会社側の言い分は、導入のハードルが低い太陽光発電が爆発的に増えると、天候や日照時間などで発電量が左右され、管内の電力が不安定になる恐れがあるためということだ。この事態を受けて、経済産業省も現在対策を協議している。

 こういった事態を受け、今後注目を集めそうなのは、送電網(グリッド)に接続しないオフグリッドの太陽光発電だ。ベランダなどに設置する小規模の装置であれば費用も手間もかからず、個人でも簡単に始められるのが強み。

 このような個人の取り組みを後押しする団体は日本全国にいくつかある。その代表格は、神奈川県相模原市の旧藤野町に拠点を置く任意団体「藤野電力」。今回は地域コミュニティの有志によりオフグリッド発電の普及に取り組む藤野電力を取材した。

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 神奈川県の北西端、相模湖の畔にある人口1万人ほどの相模原市緑区の旧藤野町地区は都心から車で1時間ほどの田園風景の広がる里山だ。戦時中は藤田嗣治ら著名な芸術家が疎開するなど、古くから芸術の町として知られる。昔から移住者を受け入れ、地域を活性化させてきた藤野は地域活動が盛んな土地でもある。

「トランジション藤野」という地域活動もその一つだ。トランジション運動とは、イギリスから広まった自然との共生を前提とした持続可能な社会への移行を目指す地域活動のこと。藤野電力はトランジション藤野の活動の一環だ。

 廃校となった旧牧郷小学校をシェアアトリエとして再利用した「牧郷ラボ」を拠点として、2011年5月に活動を開始。自然エネルギーの活用を通して、地域のエネルギーの自給自足を目指している。

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