ストレスチェック検診の義務化などを盛り込んだ「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が今年6月に公布され、企業の従業員に対するメンタルヘルスへの取り組みが、ますます注目を集めている。

 エン・ジャパン株式会社が運営する人材派遣会社のポータルサイト「[en]派遣のお仕事情報」上で、サイト利用者1130名を対象に行われた「仕事のストレス」についてのアンケート調査によると、仕事上でかなり強いストレスを感じている正規雇用者(以下、「正規」)は41%で、非正規雇用者(派遣社員・契約社員・アルバイト、以下「非正規」)の15%に比べて約2.7倍多いという結果となった。

 同調査で「仕事上のストレスをどの程度感じますか?」を尋ねたところ、「かなり強く感じる」と回答したのは、全体で18%。雇用形態別で見ると、正規が41%、非正規が15%という結果になった。

「強く感じる」という回答も合わせると、全体では66%さらに雇用形態別では、非正規が64%と半数以上、一方、正規においては80%にも登る結果に。仕事をするうえでストレスはつきものと、想像に難くないことだが、数値化されると改めてその深刻さがうかがえる。

 次に「特にストレスを感じるのはどのような点ですか?」を尋ねると、全体の第1位は「上司との人間関係」で45%、第2位は「同僚との人間関係」で40%、第3位は「給与が低い」で26%という結果に。仕事の愚痴といえば給料の話となりそうだが、給料については、諦め感も踏まえてある意味ネタにしてしまうことも多いのではないだろうか。職場での人間関係が精神的ストレスに与える影響の方が断然強いことが伺えた。

 雇用形態別での特徴を見ると、正規では「上司との人間関係」(58%、非正規は40%)での悩みが多いのに対して、非正規では「同僚との人間関係」(42%、正規は34%) での悩みが多いようだ。

 上司との人間関係でストレスを感じると回答した正規の人の中には、「努力よりも人間関係で評価が決まるので、モチベーションが下がる」「すでに取り組んでいる事を、新たに取り入れてやって欲しいと上司に言われることがよくあり、報告書をみていないのかと、ストレスに感じることがある」といった意見も挙がっており、上司がきちんと自分たちの仕事を見ていてくれているのか、どう評価しているのかという事に対して特にストレスを感じているようだ。

 一方、同僚との人間関係でストレスを感じると回答した非正規の人の場合だと、「合わない同僚がいてお昼の休憩時間に何か会話をしなければならないのが苦痛だから」「他人の噂話ばかりしてるので、うんざりする」といった、業務よりも人間関係上での悩みが目についた。

 仕事に悩みやストレスはつきものとはいえ、過度なストレスは病気の元にもなる。個人では解決し難い問題だからこそ、企業が主体となって、従業員のメンタルヘルスに対してどのような取り組みが有効なのか模索していく義務があるといえるだろう。

 さらに今回の改正法では、企業側に改善計画を作成させて、改善を図らせる仕組みを創設。それにも従わない企業については名称を公表するといった、重大な労働災害を繰り返す企業への対応というものも盛り込まれており、従業員のストレスを軽減するための努力が、全ての企業に求められている。