ペットが病気になったとき、けがをしたとき、どこの動物病院にかかればいいのか。動物病院のほとんどが専門科に分かれておらず、診療費もまちまち。手術数の届け出制もない。慎重に選びたくても、判断基準がないのが現状なのだ。

 そこで今回、朝日新聞社メディアラボと朝日新聞出版アエラ編集部が共同で、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)約3300の動物病院に41項目の調査票を送り、約600病院から回答を得た。また取材協力を得られた複数の動物病院関係者から、その考え方や診療方針のあり方について話を聞いた。10月8日発売のアエラムック「動物病院 上手な選び方」には、各病院から得た回答のうち飼い主にとって有力な判断基準になるであろう37項目をまとめた(2014年度中にオープン予定の「ウェブ版」についてはすべての回答を掲載)。

 動物病院を上手に選ぶコツは、主に以下のようなものがある。

 年間診療数、年間手術数、得意な診療科目、診療実績が目立って多い犬種や種、得意な犬種や猫種、動物病院の各獣医師が所属している学会名、認定医や専門医の資格の有無などだ。

 まず、診療費や設備の充実度はどう評価すればいいのか。動物病院の診療費は、人間の病院のように一律の設定になっていない。例えば日本獣医師会などが主導して診療費を統一しようとすれば「一般論としては不当な取引制限にあたる」(公正取引委員会)として、独占禁止法違反になってしまうためだ。そのため、動物病院にいけば誰もが払わなければいけない初診料を見ても、0円から1万200円までかなりの価格差があった。再診料(診察料)も数百円程度の病院が多いが、0円から5千円とずいぶん違う。

 犬猫のフィラリアの予防薬では数千円単位でばらつきがある。もちろん飼っているペットの体重、薬を処方する期間、薬の種類によっても変動するが、1カ月単位で見て、同じ種類の薬を使っていても、動物病院それぞれで価格を設定している。

 犬猫の不妊手術では1万円前後から6万円を超える料金まで、5万円を超える差が開いた。こちらもオスとメスの違い、体格の違いなどが影響してくることは確かだが、どちらかと言えば動物病院それぞれの値付けによる差が大きそうだ。また、今回の調査では「手術代のみ」の料金をたずねているが、手術代に加えて入院関連の費用がかかったり、抜糸代が別料金だったりするケースもある。

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