300年以上の歴史を誇る、栄光ある大英帝国が分裂してしまうのか――。

 英国からの独立を巡って英国北部のスコットランドが大揺れだ。18日に行われる、独立の賛否を問う住民投票が注目を集めており、賛成派と反対派がつばぜり合いを繰り広げる。

 独立問題でもっとも焦点となるのは、エネルギー問題である。スコットランドの沖合には、世界屈指の産油量を誇る北海油田がある。英国は、1960年に油田の発掘を開始し、欧州連合(EU)内で最大の石油輸出国となった。英国の基幹産業ともいえる。

 かりに、スコットランドが独立を果たせば、莫大な石油利権を独占できる可能性もある。当然、英国政府にとっては、経済的に大打撃を受けるのは必至だ。「油の一滴は血の一滴」という言葉もあるが、英国が石油利権を失えば、一気に窮地に立たされてしまう。

 政治的な発言を控える英国王室でさえも、エリザベス女王が「スコットランドの人々が将来について慎重に考えるよう望んでいる」と"異例"のコメントをするなど、危機感を示している。

 国内外の報道によると、賛成派と反対派の争いは有名人にも波及している。

まずは、賛成派をみてみよう。映画『007』シリーズで初代ジェームズ・ボンドを演じた俳優のショーン・コネリーは、独立が映画産業の発展に寄与するだろうとの考えを示している。

 舞台「キャバレー」で有名な俳優のアラン・カミングも賛成派だ。さらに、英国王室や政治家に痛烈なブラックジョークを飛ばす、コメディアンのフランキー・ボイルも独立に賛成している。

 一方、反対派の代表格は、イングランド出身で、スコットランドのエディンバラに住むJ・K・ローリングだ。人気小説の『ハリー・ポッター』シリーズの著者である。14年6月には反対運動に対して、約1億7千万円という巨額の寄付を行ったという。

 反対派はほかにも……。理論物理学者であるスティーブン・ホーキングも独立反対を表明。また、ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーや、グラミー賞を受賞したミュージシャンのスティングも反対している。素人歌番組から脚光を浴びて世界的な歌手にとなったスーザン・ボイルも反対派のひとりだ。

 英紙「デイリー・テレグラフ」などが行った最新の世論調査(約千人)によると、独立賛成派が48%、反対派が52%とほぼ互角。結果は果たして、どちらになるだろうか。

●主な独立賛成派
※アラン・カミング(俳優)
※ショーン・コネリー(俳優)
※フランキー・ボイル(コメディアン)

●主な独立反対派
※アレックス・ファーガソン(マンチェスター・ユナイテッド元監督)
※スーザン・ボイル(歌手)
スティーブン・ホーキング(理論物理学者)
スティング(歌手)
デビッド・ボウイ(歌手)
ミック・ジャガー(ミュージシャン)
J・K・ローリング(作家)
※=スコットランド出身 

▲主なスコットランド出身の著名人
トニー・ブレア(元首相)
ゴードン・ブラウン(元首相)
イアン・マクダーミド(俳優)
ロバート・カーライル(俳優)
ロビー・コルトレーン(俳優)
ユアン・マクレガー(俳優)
ジェラルド・バトラー(俳優)
ジョン・バロウマン(俳優)
ケイティ・リューング(女優)
エイミー・マクドナルド(歌手)
ケイティー・タンストール(歌手)
ジェイムズ・ディロン(作曲家)
イアン・ランキン(推理作家)
アンディ・マレー(プロテニス選手)