「東京六大学野球新記録のかかったプレッシャーのなか、レフトスタンドへ」。長嶋茂雄氏が『立教大学 by AERA』(朝日新聞出版刊)の中で、大学野球と母校・立教大学への思いを語った。好評発売中の同誌からインタビューの一部を紹介する。

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 立教大学に入ったのは、昭和29(1954)年。入学と同時に野球部の寮だった智徳寮に入り、4年間、野球に没頭する生活を送りました。

 野球部時代はいろいろありましたが、なんといっても、通算本塁打で東京六大学野球新記録のかかった試合が一番に思い出されます。

 第1号を打ったのは、2年の秋の早稲田大学との試合。以来、3年の春に2本、秋には3本打って、新記録への期待が高まっていました。

 ところが4年の春、法政大学との2回戦で第7号を打って新記録に王手をかけると、そこからまったく打てなくなってしまったんです。打席に入ると、一球ごとにカメラのシャッターの音が響きます。耳障りになるほどで、プレッシャーというのか、スランプのような状態が続きました。

 立教自体は春に続き、秋も優勝のペースで着実に勝ち進んでいました。しかし、皆さんに注目されている自分の本塁打は出ないまま、「この試合に勝てば立教の優勝が決まる」という最終試合、慶応大学との2回戦まできてしまいました。

 この慶応戦の5回、林薫投手からレフトスタンドへ待望の第8号が打てました。とてもうれしかったですね。立教野球部にとっては創部して初の春秋連覇でした。だから私にとって、この試合は本当に思い出深いですね。

 立教大学の魅力をまるごと紹介する『立教大学 by AERA』は、ほかにも、OBの佐野元春と周防正行との特別対談や、細野晴臣、大草直子、上重聡、杉本博司、南沢奈央、上橋菜穂子といった豪華OB、OGのインタビュー、研究最前線「知の深淵に続く道」、体育会の活躍に迫る「飛べ!立教大学体育会」、立教大出身の柚木麻子、なかにし礼のコラムなど読み応えたっぷりだ。キャンパスの四季を追ったグラビアも色を添える。