今日、世に流布しているダイエットには様々な方法がありますが、多くの人が試した経験がある方法は、「食べる量を減らし、運動量を増やすこと」でしょう。しかし、食事制限やきつい運動は継続が難しく、少し気を抜くと元の体重に戻ってしまった経験のある方は多いかもしれません。

 英国ベストセラーの健康本、『やせたければ脂肪をたくさんとりなさい』(ジョン・ブリファ著、朝日新聞出版)は、食事制限によるダイエット法を否定しています。本書が提唱するのは「満足感の高い食物を摂取する」こと。そうすると、結果的に食べる量が少なくなり、減量が期待できるのです。

 よく「ご飯は腹もちがいい」などと言いますが、ブリファ氏いわく、炭水化物は特に満足感の低い栄養素です。米、パン、パスタなどに多く含まれる炭水化物は、糖を放出するのが速いため、結果として「低血糖」状態を招き、空腹感を引き起こしやすいのです。さらに、果物や野菜と比べて、穀物はきわめて栄養価が低いとも述べています。では、高い満足感と栄養価が期待できる食物とは何でしょうか?

 まずは、タンパク質を多く含む食物です。肉や魚などに多いタンパク質は、栄養価が高いだけでなく、少量でも満腹になる栄養素の代表格です。

 タンパク質と同じくらい重要なのが、脂肪です。カロリーやコレステロールが高いことから、脂肪分や油を避ける人は多いかもしれません。しかしブリファ氏は、脂肪が太るもとになる可能性はわずかであるばかりか、むしろ“良質な脂肪”をとることで、体重減少につながるとも主張しています。

 “良質な脂肪”としてまず挙げているのが、「一価不飽和」脂肪と呼ばれるもので、これを含む食物には、ナッツ、アボカド、オリーブ油、バターなどがあります。

 一方、「多価不飽和」脂肪には、「オメガ6」と「オメガ3」の2種類があります。健康上は両脂肪のバランスをとることが大切ですが、ブリファ氏は、ダイエットのためには「オメガ3」脂肪の摂取を増やすことを推奨しています。「オメガ3」を多く含むのが、サバ、ニシン、イワシ、マス、サケなどの、脂っこい魚。魚の脂は体脂肪減少を促すだけでなく、健康全般のためにもなると言います。

 本書では、他にも様々な食物を「無制限に食べていいもの」と「避けるべきもの」に分類し、食事の約80%を「無制限に食べていいもの」で構成することが、ダイエットの近道だと説いています。夏本番に向けて、効率的で無理のないダイエットに挑戦してみてはいかがでしょうか。