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派遣労働者の悩み「やりたい仕事が見つからない」の真意は?

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 派遣労働者の受け入れ期間上限を撤廃する労働者派遣法の改正案が2014年6月20日廃案となった。今後の派遣法の改正が注目されている今、派遣労働者はどのような悩みを抱えているのだろう。

 2014年6月に、人材総合サービスを提供するエン・ジャパン株式会社(本社:東京都)が、同社が運営する人材派遣会社集合サイト「『en』派遣のお仕事情報」上で、サイト利用者3499名を対象に「派遣での仕事の悩み」についてのアンケート調査を行った。

 求職中の人を対象に「仕事探しにおいて悩むのはどのような時ですか?」と質問したところ、1位は「やりたい仕事が見つからない」で40%、2位は「応募しても連絡が来ない」で24%、3位は「面談・登録後に仕事の紹介が来ない・書類選考を通過できない」で22%という結果となり、仕事探しの難しさを感じている人が多いと思わせる解答が上位を占めた。

「やりたい仕事が見つからない」理由として挙げられたのは、「求められるスキルが上がっている」「希望条件(勤務日数・時間・勤務地)が合わない」「子供がいると条件が限定される」「(自分以外に)子供を見てくれる人がいないが、融通の利く職場がなかなか見つからない」などで、「やりたいことがない」というようなモラトリアム的な悩みでは決してなく、就業意欲はあるものの、今現在の自身のスキルや生活環境に相応しい仕事がないという現実的な問題が大きいようだ。

 では、現在仕事を見つけて就業している人は、これらの問題をどう乗り越えたのだろうか。現在就業している人の意見を聞いたところ、「やりたい仕事を別の角度から考えた」「勤務地の条件を広げた」「何を優先し、何を妥協できるかを考えた」など、希望条件の範囲を広げたという意見が多く上がった。派遣会社の中には、派遣での仕事探しのポイントとして「重視する優先順位」を決めるよう促しているところもあり、派遣だからといって、希望がすべてかなえられるとは限らないということが前提となるのだろう。

 他にも、派遣社員には“即戦力”が求められているため、スキルを磨く努力が必要である、自分の意思とは関係なく、派遣先企業の意向で契約が更新されない場合もある、人材派遣会社に登録をしても、仕事紹介・就職できる保障はないなど、事前にデメリットを提示している派遣会社も多い。

 では、実際に派遣の仕事をしている人の悩みは何だろうか。

 就業している方に「仕事をしている中で悩むのはどのようなことですか?」と質問したところ、1位は「給与が低い」(48%)、2位は「将来への不安」(42%)、3位は「賞与がない」(29%)という結果となった。

 派遣という立場は正社員と比べると安定や保証が少なく、運良く「やりたい」もしくは「これならやってもいい」と思える仕事につけたとしても、今度は待遇面に悩みが生じてしまうようだ。

 では、派遣で働くことのメリットは何なのだろう。エン・ジャパンは2014年4月に派遣で働くメリットについても調査しており、1位は「勤務地・曜日・時間などを選べる」で53%、2位は「パート・アルバイトよりも給与がいい」で41%、3位は「仕事内容を選べる」で31%という結果だった。

 派遣労働のメリットである「選べる」という利点は、様々なライフスタイルや事情を抱えて働く人々を助けているのは確かだが、安定や保証を得られないことへの不安やストレス、また、正規雇用への道が遠くなるのではないかという恐怖心もついて回る。

 長く続いた不況のなか、人件費カットによる人員不足を補ってきた派遣労働者だが、その地位や権利はいまだ安定とは程遠く、社会問題とさえなっている。それでも派遣労働を「選ぶ」「選ばざるをえない」人たちのために、労働者中心の、新たな労働者派遣法の改正案が出てくることを願ってやまない。


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