最近ではすっかり定着した「アンチエイジング」という言葉。でも、いざ実践しようとすると、悩んでしまうことも多いのでは?

 例えば「アンチエイジングのためには水をたくさん飲むべきだ」という意見もあれば、「水の飲み過ぎは体を冷やす」という意見もあります。「コエンザイムQ10」が若返りに効く」としていろいろな商品が売られている一方で、「コエンザイムQ10はむしろ少ないほうが寿命が長くなる」という話もあったりして……。

 アンチエイジングに関する健康法は錯綜していて、「結局、どれが正しいの?」と投げ出してしまう人も少なくないのではないでしょうか。

 そんな諸説あるアンチエイジング30個の疑問を“バトル形式”で紹介しているのが、日本抗加齢医学会理事長・坪田一男さんの『アンチエイジング・バトル 最終決着』(朝日新書)です。

 坪田さんは慶応義塾大学医学部眼科教授でもあり、レーシック手術を受けた患者さんが元気で活動的になって、若返ったような印象を受けたことから、アンチエイジングに興味を持つようになったそうです。また、坪田さん自身もアンチエイジング医学を実践し、なんと腰痛やドライアイまでが改善する体験をしたといいます。

 もちろん、アンチエイジング医学は「良い」「悪い」と簡単に決められるものではなく、時と場合や、その人の体質によって適切な方法が異なります。例えば「食事の回数」。食事は1日1回が良いという意見もあれば、3食しっかり食べなければダメだという意見もあります。しかも、それぞれの言い分にはきちんとした理由があるのです。

 ここで投げ出してしまうのは簡単ですが、それぞれの説の“いいとこ取り”をしようというのが坪田さんの提案。

 本書では他にも、「レーシックは良い? 悪い?」や「ブルーライトをカットすべきか?」「遺伝子検査はすべきか?」など、最近話題になっている健康法についても言及しています。

 アンチエイジング医学はまだまだ未解明な部分も多く、最終的な結論が出ていないものもあります。ですが、だからといって若さへのモチベーションをなくしてしまうのはもったいない。「今はこう考えよう!」と自分で割り切れるだけのデータと資料を坪田さんは本書で提示しています。

 いつまでも若く元気でいたい、それは誰もが願うこと。科学的な根拠がハッキリ示されていないからと躊躇している間にも、加齢はどんどん進んでいきます。「完璧な理想の男性が現れるまで結婚しない!」と言い続けていたら、いつまでたっても結婚できないように、アンチエイジングにも完璧を求めず、「全体的にプラスになればOK」くらいに考えて、アンチエイジングへの第一歩を踏み出してみてはいかがですか?