「若者のアルコール離れ」や健康ブームで禁酒をする人も増えてか、酒をたしなむ日本人が少なくなってきている。中でも年間ワイン消費量は日本人1人あたり2.4リットル(ワインとスピリッツの国際見本市「ヴィネクスポ」より2011年調べ)。1年にわずか3.2本という計算になる。

 どうして日本人はワインを飲まないのか。少なくとも年間300本以上のワインを消費するワイン・ジャーナリストの山本昭彦氏は「敷居が高いから」と断言する。

ワインを楽しむにはグラスや温度といった知識が必要であり、加えて食べ物との相性があることがややこしさに拍車をかけている。また様式にこだわる日本人だからこそ、「大勢のワイン予備軍が、二の足を踏んでいる」というのだ。

 そこで「普段のおかずで、もっと気軽にワインを飲もう」と山本氏は著書『おつまみワイン100本勝負』でさまざまな料理に合うワインを紹介している。

 ワインと料理の合わせ方といえば、肉には赤、魚には白といったイメージが先行しがちだ。しかし山本氏いわくワインと料理の相性は、白っぽい料理には白ワイン、赤っぽい料理には赤ワインという「色合わせ」が大切だという。

例えばデミグラスソースをかけたハンバーグには赤ワイン。赤ワインには黒コショーやナツメグなどスパイスの香りがあるからだ。同じ焼き鳥でも、正肉には白ワインが合うし、レバーには赤ワインが向いている。正肉でも、タレで焼けば、赤ワインと近くなるという。

 また、同書では意外な和食メニューと合うワインも紹介されている。例えば「いなり寿司」。山本氏いわく、いなり寿司は、フランス人がシャンパンを表現するときに使う「パンデピス」の香りがするという。パンデピスとは香辛料入りのパンのことでショウガ、シナモン、オレンジの皮、ハチミツなど混ぜて焼いたもの。「甘辛い油揚げとユズの風味の酢飯に、甘酸っぱいショウガの取り合わせと微妙に重なり合う」というのだ。しかしシャンパンは値段も高く、気軽に購入できないため、スペイン産のスパークリングワインのカバ「パゴ・デ・タルシス・カバ ブリュット・ナチュレ」で代用することを勧めている。

 書籍の中で紹介されているワインはどれも手ごろな価格帯のものばかり。自分の好きな料理と合うワインを探すことで、仕事終わりや休日の自宅での一杯がよりおいしく感じられるはずだ。